2005 Fiscal Year Annual Research Report
発生工学的手法を用いたレジスチンの個体における機能と受容体・情報伝達機構解明
Project/Area Number |
17390260
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
寺内 康夫 横浜市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (40359609)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 敏正 東京大学, 医学部附属病院, 寄附講座教員(客員助教授) (40372370)
門脇 孝 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (30185889)
戸辺 一之 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (30251242)
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Keywords | 糖尿病 / 遺伝子 / シグナル伝達 / PPAR / アディポネクチン / インスリン / 肥満 / 脂肪細胞 |
Research Abstract |
PPARγアゴニストは、脂肪細胞分化の促進による小型脂肪細胞の増加と肥大脂肪細胞のアポトーシスの促進による肥大化脂肪細胞の減少により、インスリン感受性アディポカイン(アディポネクチンなど)を増加させ、インスリン抵抗性惹起性アディポカイン(レジスチンなど)を低下させることにより、そのインスリン抵抗性改善作用を発揮することを報告してきた(J.Biol.Chem.,276:41245,2001)。今年度は、PPARγアゴニストによるインスリン抵抗性改善作用におけるインスリン感受性アディポカインとインスリン抵抗性惹起性アディポカインの相対的寄与を明らかにする目的で、先ず、インスリン感受性アディポカインの代表であるアディポネクチン欠損マウスにおけるPPARγアゴニストの抗糖尿病作用を検討した。PPARγアゴニストの一つであるピオグリタゾンを10mg/kgの用量で、肥満・2型糖尿病のモデルであるob/obマウスに投与したところ、有意に耐糖能障害を改善させるのが認められたのに対し、アディポネクチン欠損ob/obマウスにおいては、耐糖能障害の改善は認められなかった。これらの結果より、PPARγアゴニストによる抗糖尿病作用において、実際に生体内において、アディポネクチン依存性の経路が存在することが、初めて証明された。一方、興味深いことに、30mg/kgの用量でピオグリタゾンを投与した場合は、ob/obマウスにおいても、アディポネクチン欠損ob/obマウスにおいても、耐糖能障害が改善されるのが認められた。このことから、PPARγアゴニストは、アディポネクチンを介さない作用も確かに介して、抗糖尿病作用を発揮していることが、初めて示された。興味深いことに、レジスチンは、10mg/kgの投与で変化せず、30mg/kgの投与によってはじめて低下しているのが認められた(J.Biol.Chem,281:8748,2006)。 レジスチンの過剰発現マウスがインスリン抵抗性を示し、レジスチン欠損マウスはインスリン感受性が良い傾向にあることは、既に論文を投稿し、推敲しているところである。また、レジスチンの細胞内情報伝達に関して、インスリンの情報伝達のみならず、アディポネクチンの情報伝達も障害させていることを見出している(投稿後、論文推敲中)。
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Research Products
(6 results)