2005 Fiscal Year Annual Research Report
肝臓における糖脂質代謝関連遺伝子の新規な発現制御経路の同定とその解析
Project/Area Number |
17390264
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
小川 渉 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (40294219)
|
Keywords | インスリン / 糖尿病 / 転写因子 / 肝臓 / 糖新生 |
Research Abstract |
転写因子KLF15は腎臓においてClチャネル遺伝子の発現に関わることが明らかとなっているが、主要臓器の中では肝臓に最も発現が高い。KLF15の遺伝子発現がマウス肝臓において絶食により増加し、摂食において減少することを見出した。また高インスリン正常血糖クランプを行っても、肝臓のKLF15の発現は抑制されることから、KLF15の発現制御にはインスリンが重要な機能を果たすことが明らかとなった。また、肥満インスリン抵抗性モデルマウスであるdb/dbマウスの肝臓ではKLF15の発現は亢進していた。初代培養肝細胞ではKLF15の発現はグルココルチコイドやcAMPによって誘導され、インスリンによって抑制された。このような発現変動は糖新生系酵素であるPEPCKの遺伝子の発現変動と平行していた。培養肝細胞にKLF15を強制発現するとPEPCK遺伝子の発現が誘導やプロモーター活性の増強を認めた。以上のような知見から、KLF15はPEPCK遺伝子の発現に関わることが示唆された。 転写因子Stra13の遺伝子発現はマウス肝臓において絶食により低下し、摂食において増加した。また肝臓特異的にPI3キナーゼの優位抑制型変異体を強制発現したマウスでは肝臓のStra13の発現は抑制されていた。初代培養肝細胞ではStra13の発現はインスリンによって誘導され、このインスリンの作用はPI3-キナーゼの薬理学的阻害剤により抑制された。このことからStra13は個体レベルにおいても細胞レベルにおいても、インスリンによりPI3-キナーゼ依存性に誘導されることが明らかとなった。db/dbマウスやインスリン欠乏性のSTZ糖尿病マウスの肝臓にStra13を強制発現すると、血糖値が著しく低下した。すなわち、Stra13はインスリンによって制御され、インスリンの血糖降下作用において重要な機能を果たす転写因子であることが示唆された。
|
Research Products
(2 results)