2007 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子改変技術を用いた新しいコレステロール機能の解明
Project/Area Number |
17390266
|
Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
石橋 俊 Jichi Medical University, 医学部, 教授 (90212919)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野牛 宏晃 自治医科大学, 医学部, 講師 (60348018)
田副 文子 自治医科大学, 医学部, 研究生 (20406127)
永島 秀一 自治医科大学, 医学部, 研究生 (30406136)
王 暁黎 自治医科大学, 医学部, 研究生 (10458325)
高橋 学 自治医科大学, 医学部, 研究生 (70406122)
|
Keywords | コレステロール / HMG-CoA還元酵素 / スクワレン合成酵素 / 肝臓 / アルブミン / マウス / ノックアウト / 肝障害 |
Research Abstract |
【目的】内因性のコレステロール(Chol)合成経路(ステロール)経路はChol合成の他細胞機能の維持に重要な非ステロール経路を分枝する。両経路の上流にあるHMG-CoA還元酵素(HMGCR)及び、ステロール経路のみに関与するスクアレン合成酵素(SS)を肝臓特異的に欠損させたマウスを作成し、両酵素欠損の生体への影響について検討した。ステロール及び非ステロール経路の阻害は、最も注目される高脂血症治療法である一方、肝障害等の副作用が報告されている。しかし、その詳細な機序は明らかではない。そこで、分子生物学的技術を用いて両酵素の機能を組織特異的に阻害し、その機能を検討した。【方法】Cre-LoxPシステムを用いて、両経路の主要臓器である肝臓特異的にHMGCR及びSS欠損マウスを作成し、HMGCR欠損によりステロール・非ステロール経路の双方の阻害、SS欠損によりステロール経路のみの阻害を比較し、生体への影響を検討した。【成績】(1)肝HMGCR欠損マウスは生後1ケ月で肝不全で死亡した。血漿Chol値は約10%低下にとどまり肝臓のChol合成能の有意な低下はなかった。この肝臓ではChol合成に関わるSREBP2等の遺伝子発現の亢進と異化に関わるCyp7A1等の遺伝子発現の低下を認めた。光顕所見では肝細胞内にトリグリセリドの沈着(脂肪肝)を認めた。(2)肝SS欠損マウスは肝腫大、肝障害を認め、これと共に血漿Chol値、肝VLDL分泌能が低下したが、肝Chol合成能、Chol合成関連遺伝子発現は上昇する傾向にあった。【結論】肝臓の非ステロール経路は生存に必須であることが明らかとなった。またChol合成能を代償する他の酵素や経路の存在が示唆された。これら代償メカニズムの詳細や、両経路の阻害による肝毒性の出現やHMGCR欠損での脂肪肝の出現のメカニズムの解明が今後の課題である。
|
Research Products
(3 results)