2005 Fiscal Year Annual Research Report
炎症性サイトカインとしてのレプチンの病態生理的意義の解明と医学応用
Project/Area Number |
17390268
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
小川 佳宏 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (70291424)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅波 孝祥 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (50343752)
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Keywords | レプチン / 炎症性サイトカイン / 一側尿管結紮 / 腎間質線維化 / ob / obマウス |
Research Abstract |
レプチンは脂肪組織に由来する代表的なアディポサイトカインであり、主に視床下部を介して強力に摂食量の減少とエネルギー代謝の亢進をもたらし、肥満と体重増加を制御するとされている。一方、レプチンの受容体は、視床下部のみならず末梢組織において広範に分布しており、構造的にはサイトカインのシグナル伝達分子であるgp130と類似しているため、多くの組織において炎症性サイトカインとしてのレプチンの病態生理的意義が注目されている。本研究では、一側尿管結紮(Unilateral Ureteral Obstruction ; UUO)によるマウス腎間質線維化モデルを用いて、炎症・線維化促進因子としてのレプチンの病態生理的意義を検討した。遺伝的にレプチンを欠損するob/obマウスと野生型マウスを用いてUUOを施行し、経時的に腎組織像と遺伝子発現を検討した。野生型マウスでは著しい腎実質の緋薄化とともにマクロファージの浸潤および腎間質の線維化を認めたが、ob/obマウスではこれらの変化が著しく抑制されていた(図1)。ob/obマウスの腎臓では野生型マウスと比較して、炎症関連遺伝子であるケモカイン(MCP-1、RANTES)やマクロファージマーカー(F4/80、CCR2)、線維化関連遺伝子であるTGF-βや細胞外マトリックスの遺伝子発現の亢進が有意に抑制されていた。また、浸透圧ミニポンプによるレプチンの投与により持続的に高レプチン血症にした場合には、ob/obマウスにおいて観察された腎障害抑制効果が消失した。遺伝的にレプチン受容体遺伝子に変異を有するdb/dbマウスにおいてもob/obマウスと同様に腎障害の軽減を認めた。以上より、UUOによるマウス腎間質線維化モデルにおいてレプチンは炎症および線維化促進作用を有することが明らかとなった。
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Research Products
(4 results)