2006 Fiscal Year Annual Research Report
炎症性サイトカインとしてのレプチンの病態生理的意義の解明と医学応用
Project/Area Number |
17390268
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
小川 佳宏 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (70291424)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅波 孝祥 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (50343752)
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Keywords | レプチン / レプチン受容体 / 炎症 / 線維化 / 一側尿管結紮 / 腎障害 / 骨髄細胞 |
Research Abstract |
レプチンは視床下部を介して強力な摂食抑制をもたらす代表的なアディポサイトカインであるが、炎症性サイトカインとしても作用する可能性がある。我々は既に、遺伝的にレプチンを欠損するob/obマウス(ob/ob)では野生型マウス(WT)と比較して一側尿管結紮(Unilateral Ureteral Obstruction ; UUO)による腎間質線維化が軽減することを証明し、レプチンの炎症・線維化促進作用を明らかにした。本研究では、UUOによる腎障害におけるレプチンの炎症・線維化促進作用の分子機構を検討した。レプチンを持続投与したob/obにUUOを施行したところ,レプチン非投与ob/obにおいて認められる腎障害の軽減は消失した。摂食量を制限することによりレプチン投与ob/obと同程度に体重が減少したob/obでは、レプチン非投与ob/obと同程度の腎障害が観察された。一方,レプチン受容体(Ob-Rb)に変異を有するdb/dbマウス(db/db)ではUUOによる腎障害が著しく抑制された。db/dbあるいはWTに由来する骨髄細胞を用いてWTに骨髄移植したところ、db/dbの骨髄細胞を移植したWT(骨髄細胞においてOb-Rbを発現しないマウス)とWTの骨髄細胞を移植したWT(対照マウス)ではUUOによる腎障害に明らかな差は認められなかった。更に、単球・マクロファージ系細胞あるいは尿細管上皮細胞を用いた培養実験では、いずれの細胞においてもレプチンは炎症関連分子(TNFαとMCP-1)の遺伝子発現に変化をもたらさなかった。以上より、マウス腎間質線維化モデルにおいて、レプチンはOb-Rbを介して炎症・線維化促進をもたらすこと、これがレプチンによる体重減少作用によるものではないことが示唆された。
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Research Products
(6 results)