2005 Fiscal Year Annual Research Report
Wntシグナル抑制によるステロイド骨粗鬆症発症の分子機構の解明と発症予測法の開発
Project/Area Number |
17390272
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高柳 涼一 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (30154917)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大中 佳三 九州大学, 大学院・医学研究院, 講師 (30325518)
河手 久弥 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (20336027)
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Keywords | Wnt / LRP5 / グルココルチコイド / ステロイド性骨粗鬆症 / dexamethasone / β-catenin / Dickkopf-1 / Tcf / Lef |
Research Abstract |
骨発生後の骨の形成と増加に必須のシグナル系であるLRP5/6-Wnt系をグルココルチコイドが特異的に抑制することを見出した。本年度は、ヒト骨芽細胞初代培養系においてグルココルチコイドがWnt系のシグナルを遮断する際の標的分子をすべて明らかにする、グルココルチコイドによるWnt系のシグナル遮断の重みを評価する、ことを目的として研究を進め、以下の成果を得た。 (1)Tcf/Lef遺伝子発現を指標としたWnt canonical pathwayに対するグルココルチコイドの影響の検討:Wntシグナルの標的遺伝子であるTcf/Lef遺伝子の下流にluciferase遺伝子を連結したreporterを指標にdexamethasone(Dex)の影響をヒト骨芽細胞初代培養系で解析した。Tcf/Lefの転写はWnt3aの添加で上昇したが、Dexはこの上昇を用量依存性に抑制、臨床用量である10^<-7>Mで完全に抑制した。また、GFP-β-cateninはWnt3aの添加で細胞質から核内に移行したが、10^<-7>M Dexはこれを完全に抑制した。GSK-3β阻害剤であるLiCl添加すると、DexによるTcf/Lef転写抑制は消失した。Dkk-1(Dickkopf-1)の抗体を添加すると、DexによるTcf/Lef転写抑制は約50%解除された。 (2)Microarray法によるWntシグナル系の中のグルココルチコイド標的分子の網羅的解析:54,675のヒトcDNAを固相化したmicroarrayを用いて、ヒト骨芽細胞のmRNA発現に対する10^<-7>M Dexの影響を解析したところ、39個の遺伝子が10倍以上に発現が上昇、483個の遺伝子の発現が50%以下に低下した。このうち、Wntシグナル系の構成分子の発現を解析したところ、Dkk-1のみが有意に変化しており、20倍以上にその発現が増加した。 以上の結果は臨床常用量のグルココルチコイドがWnt canonical pathway(古典的経路)を完全に遮断すること、ヒト骨芽細胞ではDkk-1のみがグルココルチコイドで誘導されることが明らかになった。
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Research Products
(6 results)