2007 Fiscal Year Annual Research Report
Wntシグナル抑制によるステロイド骨粗鬆症発症の分子機構の解明と発症予測法の開発
Project/Area Number |
17390272
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高柳 涼一 Kyushu University, 大学院・医学研究院, 教授 (30154917)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大中 佳三 九州大学, 大学院・医学研究院, 講師 (30325518)
河手 久弥 九州大学, 大学病院, 助教 (20336027)
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Keywords | Wnt / LLRP5 / グルココルチコイド / ステロイド性骨粗鬆症 / dexamethasone / β-catenin / Dickkopf-1 / sFRP-1 |
Research Abstract |
骨発生後の骨の形成と増加に必須のシグナル系であるLRP5/6-Wnt系をグルココルチコイドが特異的に抑制する知見を得た。本年度は、Wntシグナル系のcanonical pathwayの構成分子のゲノムSNPと骨密度の相関について、約2,000名の一般住民を対象として解析した。また、ヒト骨芽細胞培養系のmicroarray法によるグルココルチコイド標的分子の網羅的解析の結果明らかになったグルココルチコイド誘導性遺伝子であるsFRP-1について解析を行い、以下の成果を得た。 (1)Wntシグナル系のcanonical pathwayのゲノム解析:約2,000名の正常対象例よりゲノムを採取、ヒトDkk-1遺伝子を始めとしてWntシグナル系のcanonical pathwayを構成する分子をコードするゲノムのSNPと骨密度の相関解析を行った。Dkk-1遺伝子のrs1569198のSNPは有意差を認めなかったが、SFRP1遺伝子の7つのSNPのうち、SNP1はCC+CTとTTの間で大腿骨頚部の骨密度に、また、SNP5はTTとCC+CTの間で腰椎(L2-L4)骨密度に有意差を検出した。一方、Wnt系のcanonical pathwayに関するゲノム解析の対象数は今回の検討によるものがこれまでの他の報告より抜きん出て多いが、今回の検討では、他のグループによる既報のLRP5遺伝子で骨密度に有意差があるとする知見の再現性は得られなかった。以上の結果、Wntシグナル系のcanonical pathwayがヒトの骨密度に影響する遺伝因子の1つであることが明らかになった。 (2)sFRP-1遺伝子の機能解析:ヒトsFRP1の5'上流1,500bpをRT-PCR法でcloning、luciferaseをreporterとしてグルココルチコイド応答性を検討した。10^<-10>〜10^<-6>M dexamethasone添加により用量依存的にluciferase活性ガ上昇した。この結果、ヒトsFRP1遺伝子が転写レベルでもグルココルチコイドにより誘導されることが明らかになった。(1)の結果を踏まえ、sFRP1遺伝子の原発性およびステロイド性骨粗穎症への影響の重要性が示唆された。
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Research Products
(4 results)