2005 Fiscal Year Annual Research Report
生命維持機構としてのプロテインC凝固制御系の分子細胞学的研究
Project/Area Number |
17390276
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
鈴木 宏治 三重大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (70077808)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 辰弥 三重大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (00242959)
岡本 貴行 三重大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (30378286)
GABAZZA Esteban 三重大学, 大学院医学系研究科, 助手 (00293770)
|
Keywords | プロテインC / プロテインS / トロンボモジュリン / プロテインCインヒビター / 活性化プロテインC(APC) / 敗血症 / 抗炎症作用 / 癌の浸潤転移 |
Research Abstract |
本年度は、プロテインC凝固制御系において重要な因子である、プロテインS(PS),トロンボモジュリン(TM)、プロテインCインヒビター(PCI)について検討を行った。 1.ビタミンK依存性蛋白のPSは、血液凝固制御に不可欠な血漿因子であり、主に肝臓で産生されると考えられている。敗血症患者では血漿中のPS濃度が低下し、そのため血栓症傾向を来すことが報告されているが、その肝臓における詳細な産生機序は明らかではない。そこで、ラット腹腔内にリポポリ多糖(LPS)を投与して敗血症モデルラットを作成し、その肝臓から肝細胞及び類洞内皮細胞を単離し、各細胞におけるPSの産生機序を検討した。その結果、両細胞におけるPSの産生はLPS処理により著しく低下し、その産生低下は両細胞膜上のCD14とTLR4を介したMEK/ERK経路及びNF-κB経路の活性化によることが明らかになった。 2.TMは、トロンビンによるプロテインCの活性化を促進する補助因子として機能する血管内皮細胞上の糖蛋白質である。最近、我々はTMの細胞外ドメイン(N末端側レクチンドメイン、EGFドメイン及びO型糖鎖含有ドメイン)が、単核球におけるLPS誘発性のサイトカイン産生を抑制することを見出した。本年度では、種々のTM構成ドメインの組換え蛋白を作成し、TMの抗炎症作用の作用機序を解明する研究を行った。その結果、TMの抗炎症作用は、TMのN末端側レクチンドメインに依存することを認められた。現在、引き続き、TMの抗炎症作用の分子機序を検討している。 3.血漿中で抗凝固因子の活性型プロテインC(APC)の阻害因子として機能するPCIは、腎の近位尿細管上皮細胞(RPTEC)でも発現されるが、RPTEC由来の腎癌細胞ではその発現量が著しく低下する。そこで、癌細胞の増殖、浸潤・転移におけるPCIの役割及び腎癌におけるPCI発現低下機序を解析した。その結果、PCIは癌細胞のin vitroにおける浸潤能を抑制し、また、in vivoにおける増殖、浸潤・転移を著しく抑制した。また、腎癌部では、PCI遺伝子の転写調節領域のメチル化によって、PCIの発現低下が誘発されることが明らかになった。
|
Research Products
(7 results)