2006 Fiscal Year Annual Research Report
Th1病克服を目指したp38MAPK経路活性制御機構の解明と分子標的療法の開発
Project/Area Number |
17390288
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
武川 睦寛 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (30322332)
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Keywords | MAPキナーゼ / Th1 / GADD45 |
Research Abstract |
p38MAPK経路は、サイトカインや抗原刺激によって活性化され、IFNγ産生及びTh1免疫に必須のシグナル伝達経路である。申請者はp38経路の主要なMAPKKKであるMTK1を単離し、さらにMTK1の活性化因子としてGADD45関連遺伝子を同定してきた。またTh1細胞において、GADD45分子がサイトカインや抗原刺激によって発現誘導され、MTK1-p38経路の活性化を介してTh1免疫応答の制御に極めて重要な役割を果たすことを示してきた。本研究では、自己免疫疾患の病態解明および新規治療法の開発を目指して、Th1免疫応答の鍵分子であるMTK1活性調節機構の解明を行った。 MTK1の活性化機構として、GADD45分子がMTK1のN末端に位置する約100アミノ酸の領域に結合すると、まずMTK1制御ドメインと酵素ドメイン間の抑制的相互作用が解除されることを見出した。さらに、coiled-coilドメインを介してMTK1分子同士の多量体化が誘導され、隣接した分子が相互にリン酸化し合い、強い活性化が起こることを明らかにした。またMTK1は活性化されると、MAPKK分子と結合出来るようになり、シグナルが正しく下流へと伝搬されて行くことを見出した。さらに、MAPKK分子内で、MTK1との選択的結合に必要な領域を探索した結果、MAPKKのC末端約20アミノ酸の領域が、ドッキング・サイトであることを見出した。このドッキング・サイトと相同なアミノ酸配列を持つ合成ペプチドを細胞に導入したところ、MTK1-MAPKKの結合が競合阻害され、サイトカインによるp38の活性化が強く抑制されることを見出した。従ってMTK1やドッキング・サイトをターゲットとした分子標的薬剤を開発することで、Th1免疫応答を人工時に制御する新たな治療法を開発し得る可能性が示唆された。また、新規MTK1結合分子の同定に成功した。
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Research Products
(3 results)