2005 Fiscal Year Annual Research Report
胎児・胎盤機能を維持する分子機構の解明と周産期疾患の治療介入についての統合的研究
Project/Area Number |
17390299
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
眞弓 光文 福井大学, 医学部, 教授 (70135581)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚原 宏一 福井大学, 医学部附属病院, 講師 (90207340)
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Keywords | 胎児 / 胎盤 / 分子機構 / 周産期疾患 / 母乳 / 酸化ストレス / レドックス制御 / 慢性肺疾患 |
Research Abstract |
超早産(在胎28週未満)で出生した新生児の生存率は着実に向上しているが、超早産で出生した理由により発症する低酸素性・虚血性脳症、慢性肺疾患、未熟児網膜症、成長・発達障害などの重大合併症の発生頻度は低下していない。特に周産期医療に携わる小児科医にとって、超早産児の「後遺症なき生存」をより確実にすることを目指すことは当然であるが、今後はもう一歩踏み込んで、切迫流産・早産を回避して、安定した状態で在胎週数を少しでも長くする方策を開発することも重要になると予想される。本研究の目的は、(A)妊娠の後半期において妊娠を安定した状態で継続させ、胎児の良好な発育を促進する重要因子を明らかにすること、および、(B)病的状態においても胎児、新生児を安定化させ、重大合併症を抑止する方略を明確にすることである。 平成17年度の研究業績は以下の通りである。(1)Redox(patho)physiology:母乳は栄養素だけでなく様々な生理活性因子も含有する。われわれは重要な抗酸化因子であるNO、thioredoxin、CoQ10、vitamin Eの母乳中濃度を計測し、それらの出産後変化の特徴を明らかにした。これらの抗酸化因子は出生直後に新生児が必然的に被る酸化ストレスの亢進に対して防御的に作用すると考えられた。(2)Respiratory(patho)physiology:酸化ストレスの亢進は組織・細胞傷害性に作用し、気道や肺での急性・慢性炎症や過敏性を引き起こす。われわれはヒト肺微小血管内皮細胞において、抗酸化剤やNOによるレドックス制御がTNF-alpha/酸化ストレス亢進/NF-kappa B活性化/標的遺伝子誘導の炎症カスケードを効果的に遮断することを示した。レドックス療法が新生児の炎症性肺疾患に対する新たな治療手段の1つになる可能性が示された。また、早産児慢性肺疾患を抑止するための最も有効で副作用の少ない管理方法を明確にした。
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Research Products
(15 results)