2005 Fiscal Year Annual Research Report
小児期の生活習慣病と将来の動脈硬化性心疾患発症に関する研究
Project/Area Number |
17390303
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
太田 孝男 琉球大学, 医学部, 教授 (70185271)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朔 敬二郎 福岡大学, 医学部, 教授 (40183371)
粟田 久多佳 琉球大学, 医学部, 教授 (00325862)
島袋 充生 琉球大学, 医学部附属病院, 講師 (60271144)
砂川 信 琉球大学, 医学部, 助手 (60332904)
吉田 朝秀 琉球大学, 医学部附属病院, 助手 (20363682)
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Keywords | 小児生活習慣病 / 生下時体重 / 小児肥満 / アディポネクチン / CRP |
Research Abstract |
生活習慣病が動脈硬化性心疾患(ACAD)の大きな危険因子であることは多くの疫学及び基礎研究から明らかである。動脈硬化病変は病理学的には小児期から存在し、加齢と共に進展していく。また、その進展速度を生活習慣病が加速することも明らかにされつつある。また、最近低出生体重時と将来の生活習慣病発症の関連性も報告されている。本年度の研究で私達は(1)生下時体重と学童期のACAD危険因子との関連性及び(2)成人でのACAD危険因子であるCRPの小児での意義について検討した。(1)生下時体重とACAD危険因子の関連は330名の学童について検討を行った。その結果、欧米の結果と異なり、生下時体重と学童期の肥満には関連が認められなかった。有意な相関は血中アディポネクチン(r=0.163,p<0.003)と尿酸値(r=-0.166,p<0.003)に認められた。しかし、ステップワイズ回帰では、生後から学童期までの平均体重増加とアディポネクチン及び尿酸値との相関の方が生下時体重との相関より強かった。この結果は、胎内要因よりも生後の環境の方が生活習慣病発症に関連することを示唆している(本研究はPediatrics International雑誌に掲載予定である)。(2)炎症マーカーであるCRPとACADの関係は成人では明らかにされている。しかし、小児での検討は少ない。今年度の研究で568名の学童についてCRPとACAD危険因子(IL-6,TNF-αも含む)の関連を検討した。その結果、学童期のCRPレベルにはIL-6が最も強く関連していた。その他、肥満度、インスリン抵抗性、HDL-Cとの間に有意な相関が認められた。IL-6の予測因子についてもステップワイズ回帰で検討したが,肥満度が最も強い影響を与えた(男児r^2=0.140,女児r^2=0.154,P<0.0001)。これらの結果から成人と同様にCRPは小児期にもACADの危険因子と関連が深く、CRPの上昇を抑えるには少児期の肥満の予防が最も効果的であることが示唆された(この結果は現在米国雑誌に投稿中である)。
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Research Products
(1 results)