2007 Fiscal Year Annual Research Report
ダリエー病SERCA2b変異遺伝子導入トランスジェニックマウスの解析
Project/Area Number |
17390309
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
飯塚 一 Asahikawa Medical College, 医学部, 教授 (90113513)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 明美 旭川医科大学, 医学部, 准教授 (30241441)
高橋 英俊 旭川医科大学, 医学部, 講師 (00216748)
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Keywords | ダリエー病 / 表皮細胞 / カルシウムポンプ / 角化 |
Research Abstract |
ダリエー病は常染色体優性遺伝の角化異常症で、原因遺伝子は染色体12q24.1領域のATP2A2で本体は小胞体カルシウムポンプ(SERCA2b)である。多くのダリエー病患者の解析により、われわれの発見したものも含め現在までに多くの遺伝子変異が同定されている。われわれは、報告のあるSERCA2b点突然変異51種類のmutantを全て作成し、Cos1細胞に導入する系を用いてカルシウムポンプ機能を解析し、その異常がいくつかの群に分けられることを過去に見出している(Sato,Miyauchi,Iizuka et. al.:J Biol Chem 2004;Miyauchi,Daiho,Iizuka,et al:J Biol Chem 2006)。この中で、L321F変異、I274V変異、M719I変異はわれわれが日本人家系から見出したもので、各々、単純なhaploinsufficiencyではなく、カルシウムポンプにおけるkinetics上の異常を示す。本年度の研究においてはL321F変異導入transgenic mouseの解析を行った。本変異は、endplasmic reticulum(ER)のカルシウムポンプ機能そのものには異常はないが、ポンプに対するfeedback inhibitionがかからないため、ER内のカルシウム濃度が異常に高く設定されてしまうユニークな変異で、このためER内腔の機能のみならず、細胞質内カルシウム濃度にも結果的に異常が引き起こされ種々の変動が引き起こされる。この変異は、原理的にカルシウムポンプの異常としてはassay系で検出されないため、遺伝子変異があるにもかかわらず、ポンプ機能が一見保持されているように見えてしまい、さらに何らかの負荷をかけたときに初めて異常が顕在化してくるという特性が予想され、ダリエー病の病態を考える上で、単なるhaploinsufficiencyとは異なる機構を説明するプロトタイプと思われる。genomicに導入したL321F transgenic mouseにおいてはっきりした表現形の異常は、温度負荷、運動負荷、さらにテープストリッピングによる創傷負荷では確認されなかったが、本transgenic mouse由来の細胞を用いたポンプの機能解析では、予想通り、feedback inhibitionの異常が確認された。また作成したtransg enic mouseの表皮細胞につきカルシウムシフトによる角化様式を検討したところ、Transgeni c mouse由来の表皮細胞は、0.05mMから0.1mM,さらに1mMへの段階的カルシウムシフトにより、正常表皮と比べ、早期に角化マーカーを発現することを見出した。このことは小胞体カルシウムポンプの異常が角化に変動を与えることを示しているが、in vivoにおける異常が見出されないことは、少なくともマウスにおいては、別の代償機構が存在することを示唆している。
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Research Products
(3 results)