2005 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルス感染防御でのマスト細胞の役割の解明及びマスト細胞機能制御による免疫療法
Project/Area Number |
17390310
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
島田 眞路 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (10114505)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松江 弘之 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 助教授 (10250424)
柴垣 直孝 山梨大学, 医学部附属病院, 講師 (40262662)
長阪 晶子 山梨大学, 医学部附属病院, 医員 (60377546)
青木 類 山梨大学, 医学部附属病院, 医員 (10377541)
西山 幸廣 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60115615)
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Keywords | マスト細胞 / Herpes simplex virus / Toll-like receptor / 自然免疫 / 獲得免疫 |
Research Abstract |
1.Herpes Simplex virus(HSV)のマスト細胞への感染性及び2.HSVのマスト細胞への影響:マスト細胞は1型アレルギー反応のエフェクター細胞であるが、Toll-like receptors(TLRs)などを介して自然免疫に関与し、病原体、特に細菌感染における生体防御に重要な役割を担っている。最近われわれは皮膚マスト細胞がウイルスの構成成分を認識するTLR3,7,9を機能的に発現していることを報告したが(J Immunol 173:531,2004),ウイルス感染においてマスト細胞が生体防御に関与しているかはほとんど分かっていない。われわれはHepes simplex virus(HSV)がマスト細胞の脱顆粒を誘導し、感染するか、またサイトカインを産生させるかを、マウス胎児皮膚由来マスト細胞(FSMC)を用いて検討した。HSV1(KH7株)、HSV2(186株)をFSMCに感染させると、Viabilityに影響を与えずにウイルス数依存性に10分後に脱顆粒を誘導した(β-hexosaminidase assay)。蛍光抗体法により感染3時間後にすでにマスト細胞内でウイルス蛋白が検出され、HSVがFSMCに感染することが確認できた。また、24時間後の培養上清中のサイトカイン(TNF-α,IL-6,IFN-α)の有意な産生がみられた(ELISA)。186株(5x10^6 PFU)をB6マウス皮内に注射したところ、in vivoのマスト細胞の脱顆粒と炎症性細胞浸潤が認められた(2時間後生検のトルイジンブルーで染色)。以上の結果より、皮膚マスト細胞がHSV感染により活性化され脱顆粒・炎症性サイトカインの産生が起こり、免疫・炎症性細胞の浸潤をリクルートし、HSVに対する獲得免疫の誘導に関与することが示唆された。3.HSV感染におけるマスト細胞の役割(動物実験):マスト細胞欠損マウス(W/Wv)の皮膚にFSMCを移入し、皮膚マスト細胞を再構成しまマウスでは、W/Wvに比べて、HSV2(186株)を皮内接種したとき、有意に死亡率を低下させた。この実験系を用いて今後TLRsの関与を検討する予定である。
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