2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17390316
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
橋本 謙二 千葉大学, 社会精神保健教育研究センター, 教授 (10189483)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 武男 理化学研究所, 脳科学研究所, チームリーダー (30249958)
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Keywords | NMDA受容体 / グルタミン酸 / グリア細胞 / フャンサイクルジン / グリシントランスポーター / 認知機能障害 |
Research Abstract |
統合失調症の病態にNMDA受容体を介するグルタミン酸神経系の異常が関与していることが推測されている。今回、新しい治療薬の開発を視野に入れて、統合失調症のモデル動物の作成と妥当性について検討した。NMDA受容体機能低下に基づいて、NMDA受容体遮断薬フェンサイクリジン(PCP)を使用してモデル動物の作成を試みた。マウスにPCP(10mg/kg/day)を10日間投与すると、認知機能障害が起きることを新規物体再認識テストを用いることにより見出した。このモデル動物に、認知機能障害改善作用を有するクロザピンを投与すると、認知機能障害が改善するが、認知機能障害改善作用を有さないハロペリドールを投与しても改善作用を示さなかったことより、このモデル動物は認知機能障害のモデル動物として有用であり、クロザピンなどの非定型抗精神病薬の評価系として応用できることが判った。近年、統合失調症の認知機能障害の新しい治療薬として、グリア細胞にあるグリシントランスポーター(GlyT-1)の阻害薬が注目されている。今回、PCPの投与によって引き起こされる認知機能障害モデルにおいて、GlyT-1阻害薬(ALX5407)を2週間投与すると、PCPによる認知機能障害が改善されることを見出した。さらに、PCPの繰り返し投与によって、マウス脳内(海馬および前頭皮質)のGlyT-1のmRNAの量が生理食塩水投与軍と比較して変化していることを見出した。以上の結果より、グリシントランスポーターの阻害薬は統合失調症の認知機能障害の新しい治療薬として有用であることが示唆された。
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Research Products
(6 results)