2006 Fiscal Year Annual Research Report
覚醒剤誘発性統合失調症の診断と病態解明に関する研究
Project/Area Number |
17390321
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
小島 卓也 日本大学, 医学部, 教授 (40014203)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松島 英介 東京医科歯科大学, 医学部, 助教授 (50242186)
倉知 正佳 富山大学, 医学部, 教授 (80019603)
糸川 昌成 東京都精神医学総合研究所, 総合失調症部門, 部門長 (40332324)
高橋 栄 日本大学, 医学部, 講師 (70297802)
有波 忠雄 筑波大学, 大学院人間総合科学研究所, 教授 (10212648)
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Keywords | 覚醒剤精神病 / 覚醒剤誘発性総合失調症 / 総合失調症 / 探索眼球運動 / 総合失調症診断補助装置 / 反応的探索スコア / 総合失調症感受性遺伝子 / 連鎖解析 |
Research Abstract |
わが国では覚醒剤精神病は、覚醒剤の反復投与による逆耐性現象によって発症し、統合失調症とは別の病態と考えられている。一方、欧米では覚醒剤使用による精神病の中で幻覚妄想が持続するタイプは、覚醒剤誘発性統合失調症と診断され、日本と外国の研究者の間に論争がある。そこで、研究1覚醒剤精神病に、探索眼球運動、臨床症状評価、遺伝子多型を解析し、覚醒剤誘発性統合失調症といえる対象が存在するか検討した。対象は松沢病院入院中または通院中の覚醒剤精神病9例と健常対照22例である。統合失調症を非統合失調症から75%の感受性、80%の特異性で判定する診断補助装置の判別式を用いた。判別式のD値が+ならば統合失調症と判定されるが覚醒剤精神病9例中6例がD+であった。D+とD-の精神症状を比較するとD+がD-よりも高値を示した。精神症状の持続を評価するとD+がD-より長かった。31例でneuropeptide Y、reelin、STXの遺伝子多型を解析したところ、それぞれのリスクアレルを持つ群で持たない群よりDスコアが高値を示した。研究2多数の覚醒剤精神病患者に統合失調症補助診断装置を適応し、さらに統合失調症と判別された一群に、反応的探索スコア(RSS)を用いて素因の強い一群の抽出を試みた。埼玉県立精神保健総合センターで記録した覚せい剤精神病患者49名について検討した。49例中28例が統合失調症(D+)と判定され、21例が非統合失調症(D-)と判定された。D+がD-に比べて精神症状は高値を示し、精神病持続期間は長かった。また、D+のうちRSSが7以下のものは10例で精神病持続期間が最長で、精神症状が最も重く、社会機能(GAF)も最低値を示した。考察研究1と2から覚醒剤精神病の中には覚醒剤誘発性統合失調症が存在すると考えられた。その場合統合失調症診断補助装置と素因を反映するRSSによる2段階判定が有効であった。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] 統合失調症の認知機能,中枢神経回路,感受性遺伝子を基盤にした新しい診断装置の開発2007
Author(s)
小島卓也, 高橋栄, 泰羅雅登, 酒谷薫, 横田正夫, 坂井禎一郎, 大久保起延, 大久保博美, 鈴木正泰, 松田哲也, 松浦雅人, 松島英介
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Journal Title
Description
「研究成果報告書概要(和文)」より
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[Journal Article] Association Analysis of δ-Opioid Receptor Gene Polymorphisms in Methamphetamine Dependence/Psychosis2006
Author(s)
Hideaki Kobayashi, Harumi Hata, Hiroshi Ujike, Matsuo Harano, Toshiya Inada, Tokutaro Komiyama, Mitsuhiko Yamada, Yoshimoto Sekine, Nakao Iwata, Masaomi Iyo, Norio Ozaki, Msanari Itokawa, Maki Naka, Soishiro Ide, Kazutaka Ikeda, Yohtaro Numashi, Ishiro Sora
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Journal Title
American Journal of Medical Genetics Part B 141B
Pages: 482-286
Description
「研究成果報告書概要(欧文)」より