2006 Fiscal Year Annual Research Report
網羅的遺伝子発現解析によるナルコレプシーの自己免疫機序の解明
Project/Area Number |
17390324
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
本多 真 (財)東京都医学研究機構, 東京都精神医学総合研究所, 副参事研究員 (50370979)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 進 (財)東京都医学研究機構, 東京都精神医学総合研究所, 研究員 (30399472)
川嶋 実苗 東京大学, 大学院・医学系研究科・寄附講座, 教員 (00396706)
本多 裕 財団法人神経研究所, 理事長 (90010305)
|
Keywords | 遺伝子発現解析 / ナルコレプジー / 自己免疫 / 自己抗体 |
Research Abstract |
1.ナルコレプシー関連遺伝子の網羅的探索研究 昨年度に同定されたナルコレプシー関連遺伝子のうち、オレキシン神経系が局在する後部視床下部で発現変化を示す9つの遺伝子について、その組織分布をマウスでのin situ hybridization法で検討した。後部視床下部に局在しナルコレプシーで顕著な機能低下を示すオレキシン神経細胞と、発現分布が一致する一遺伝子が見出された(インスリン様成長因子結合蛋白:IGFBP3)。マウスではIGFBP3 mRNA発現細胞の80%がオレキシン細胞であり、ヒト脳組織の免疫組織学的検討でもオレキシン発現細胞とIGFBP3の共存が確認された。但し大部分のIGFBP3は肝臓で産生され、インスリン様成長因子(IGF)と複合体をつくって血中に大量に存在し、組織中に移行するため、IGFBP3蛋白の分布はmRNA発現分布とは一致しなかった。IGFBP3はIGF非依存性にアポトーシスを起こすとの報告があり、ナルコレプシーにおけるオレキシン神経細胞変性の謎を解明する鍵となる発見である。現在機能的関連の検討を行っている。 2.自己抗体検索研究 過眠症症例および対照群の血液検体のうち、血清中の自己抗体を、昨年度確立したRadio Ligand Binding Assay法を用いた高感度検出法にて検討した。オレキシン神経系(リガンドおよび受容体)と同様に、IGFBP3をはじめ複数の候補遺伝子に対する自己抗体の検討を行ったが、疾患特異性を示すものは見出せなかった。自己抗体の相対値は、対照群に比してナルコレプシーでむしろ低い傾向がみられ、ナルコレプシーにおけるHLAとの相関は、通常の自己免疫機序とは異なる特徴をもつことが推察された。
|
Research Products
(2 results)