Research Abstract |
重イオンがん治療用超小型直接プラズマ入射線形加速器について,レーザーイオン源および高効率加速空洞の開発を進め,最終年度としてがん治療用装置として必要な性能評価を進めている。 レーザーイオン源の開発については,前年度に製作したレーザーイオン源用真空チェンバーを,既存のテストベンチに取り付けて,YAGレーザーを使用したイオンビームの特性研究をおこない,現在も改良を続けている。その成果については,本年8月に韓国で開催されるInternational Conference on Ion Source (ICIS2007)で発表予定である。 また,レーザーイオン源用のターゲット材料の開発と真空系の検討については,ルーマニアのサピエンタ大学やペトロマイオ大学に所属する海外研究協力者(Hollanda, David, Kenez教授,Osvath研究員およびBiro教授)と共同で進めている。そして,日本からサピエンタ大学の国際物理研究施設にレーザープラズマ実験装置を運び,現地の装置と組みあわせて共同実験を開始し,その技術打ち合わせのために服部が両大学に出張した。これまでに組み立てが完了し,炭素を含む複合ターゲットの研究を現在行っている。しかし,高性能ターゲットが完成するまでには時間が必要と思われる。 加速空洞の開発については,前年度に引き続きAPF-IH型線形加速器の加速ギャップや電極形状の最適化を進め,加速電圧分布を比較評価した。また,RFQ電極とドリフトチューブ電極をひとつの加速空洞内に配置した,複合加速構造単空洞線形加速器の開発に取り組み,その成果については昨年8月に米国で開催されたInternational Conference on the Application of Accelerators in Research and Industry (CAAR12006),第3回日本加速器学会年会などにおいて報告した。がん治療用装置としての評価については,ペトロマイオ大学のBiro教授を招聘して打ち合わせをおこない,これまでに開発したレーザーイオン源と加速空洞改造用テスト真空槽などを組み合わせ,直接入射法による陽子ビーム実験に向けた準備を進めている。
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