2005 Fiscal Year Annual Research Report
癌幹細胞の病態解析と正常上皮の癌抑制遺伝子不活化解析による食道癌発癌増殖の解明
Project/Area Number |
17390363
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
嶋田 裕 京都大学, 医学研究科, 講師 (30216072)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 剛 京都大学, 医学研究科, 講師 (50293866)
加賀野井 純一 京都大学, 医学研究科, 助手 (60378619)
伊丹 淳 京都大学, 医学研究科, 助手 (40362511)
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Keywords | 癌幹細胞 / 正常食道上皮 / 癌抑制遺伝子 / FHIT / p75 / NGF |
Research Abstract |
1.食道前癌病変および早期癌の検討では、発癌はp75陽性前駆細胞を含む細胞系譜の中から起こっており、その変化はp75陽性前駆細胞から発生しその後の癌進展に伴って多くの病変でp75発現が消失していくことが明らかとなった。p75陽性細胞は正常上皮のみでなくDysplasiaおよびその発現がみられる初期癌においても前駆細胞であり、癌幹細胞として発癌予防および初期癌治療の標的細胞になりうる可能性が示された。 2.食道癌臨床標本におけるp75と臨床病理学的因子との関連では、食道癌の49.2%(92/187)にp75の発現を認め、高分化型扁平上皮癌では発現部位は癌先進部と癌増殖帯に一致していた。低分化型扁平上皮癌ではびまん性に発現が見られた。細胞株では全ての細胞でp75の発現を認めた(0.5%-91.8%、平均30.1%)。p75発現細胞株は有意に大きなコロニーを生じた。siRNAによるp75抑制で有意にアポトーシスの誘導が得られた。これらのことから、p75陽性細胞は増殖活性が強く、低分化型傾向にあり、癌の生存に強く関わっている癌幹細胞候補集団であることが判明した。 3.p75のリガンドの一つであるNGFは57.8%(63/109)に発現を認め、NGF高発現群は有意にリンパ節転移、遠隔転移が多く、低分化であり、予後不良であった。高転移株に対するNGF中和抗体、TrkA選択的阻害剤、またはSiRNAにより細胞の移動能が有意に抑制された。 4.nicotin(25本/dayの成人の血中濃度)暴露により、正常食道上皮においてDNMT1,3aを介した癌抑制遺伝子FHIT遺伝子のメチル化による蛋白発現抑制を認めた。このメチル化はnicotineの除去により消失し、癌抑制遺伝子FHITタンパクの発現が回復した。
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Research Products
(6 results)