2005 Fiscal Year Annual Research Report
消化器癌形成における遺伝子後成変異と突然変異の相互作用の解明と臨床応用への展開
Project/Area Number |
17390368
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
田中 紀章 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (10127566)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松原 長秀 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (70314672)
清水 憲二 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (10037286)
神原 健 岡山大学, 医学部, 客員研究員 (60379724)
早津 彦哉 就実大学, 薬学部, 教授 (10012593)
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Keywords | 癌 / 遺伝子 / 臨床応用 |
Research Abstract |
科学研究費の交付を希望する平成18年度までに、大腸癌を中心に消化器癌を対象にして、これまで明確でなかったエピジェネティックな変異による癌化の機構を明らかにし、これまである程度わかってきている遺伝子突然変異の蓄積による癌化機構との相互関係の研究を開始した。具体的には我々がこれまでやってきた遺伝子プロモータのメチル化に加えて、ヒストンのメチル化、クロマチンの変異、およびsiRNAが遺伝子の発現抑制に重要な働きをしているという新事実に基づき、消化器癌形成過程への関与を研究している。ことに生体内のsiRNAを介した遺伝子発現の抑制が、これまで大腸発癌の最も謎とされてきた染色体不安定性に関与する可能性が示唆されており、ヒトの系でこれを明らかにしたい。これらの変異に伴う癌の悪性度、化学療法、放射線療法の感受性の変化等診断的意義のみならず、RNAiを用いた治療法或は予防法の開発に結びつけたい。具体的には大腸癌成立過程におけるtraditional adenoma、hyperplastic polyps(HPP)、sessile serrated adenoma(SSA)、mixed hyperplastic polyp/adenoma(MHAP)、traditional serrated adenomaを分けて(病理的に厳密に分けることが困難な場合もあるが)メチル化、KRAS・BRAFの突然変異を検討した。また大腸癌におけるBRAF/KRASの異常を詳細に検討し、それぞれ癌化の過程でメチル化の関与の程度が全く異なっていることをJ.Clin.Oncol.(JCO)に報告した。MGMTのプロモータのメチル化が大腸癌の予後・再発・抗癌剤感受性に重要な働きをしていることを発表したが、すでに倫理委員会の承認が得られたので、前向きに症例を集めて、実証を開始した。今後はマイクロRNAと発癌について研究を進めていきたい。
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