2006 Fiscal Year Annual Research Report
自然免疫活性化アジュバントと癌抗原蛋白を用いた新規癌ワクチンの臨床研究
Project/Area Number |
17390376
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
宮本 正樹 北海道大学, 北海道大学病院, 助手 (40333611)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森川 利昭 慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (60292025)
近藤 哲 北海道大学, 大学院医学研究科, 教授 (30215454)
秋田 弘敏 北海道大学, 大学院医学研究科, 教授 (70222528)
西村 孝司 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 教授 (30143001)
池田 裕明 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 助教授 (40374673)
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Keywords | 進行再発癌 / 癌ワクチン / 免疫療法 / NY-ESO-1 / 自然免疫活性化アジュバント |
Research Abstract |
北海道大学病院にて癌ワクチン治療の対象となる症例のスクリーニングを行った。食道癌症例122例,膵癌症例80例における,NY-ESO-1抗原の発現を,パラフィン切片を用いた免疫染色法によって解析した。RT-PCRによってNY-ESO-1抗原の発現が確認されている細胞株であるHEC46と,発言しないことが確認されているTE8を,それぞれSCIDマウスに移植して得られた腫瘍を,免疫染色の陽性対照および陰性対照として用いることが可能であることを確認した。食道癌症例におけるNY-ESO-1抗原の発現症例は22例であったのに対し,膵癌では発現症例は1例もみられなかった。食道癌におけるNY-ESO-1発現症例では,有意にCD4陽性リンパ球およびCD8陽性リンパ球の腫瘍への浸潤が多いことが明らかになり,さらに病期III以上の進行癌症例ではNY-ESO-1発現症例の生存率が有意に良好であることが明らかになった。さらには,CD40を発現するBリンパ球の浸潤数が多い症例は予後不良であること,FoxP3陽性リンパ球数は予後に影響しないことが明らかになった。 以上をふまえ,癌抗原を標的とする癌ワクチン療法は,抗原特異的CD4陽性リンパ球およびCD8陽性リンパ球を誘導する材料を用いて臨床試験を開始した。標的は,NY-ESO-1,免疫活性化アジュバントはCpGとしたワクチンを構築した。NY-ESO-1蛋白を合衆国のLudwig研究所より,CpGをファイザー製薬より入手した。対象症例は全ての悪性腫瘍とし,十分なインフォームドコンセントに基づいてエントリーを開始した。現在,4例の同意取得がなされたが,うち3例はパフォーマンスステータスが増悪し(1例は肺転移による呼吸苦増悪,2例は脊椎転移による歩行障害)治療不能となった。現在再発乳癌症例1例をエントリーしており,最終的に9症例を目標として試験を継続する。
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