2005 Fiscal Year Annual Research Report
新しい脱細胞化技術による自己組織化する異種生体弁の開発
Project/Area Number |
17390380
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
市川 肇 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (60303939)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 暉 大阪大学, 名誉教授 (00028614)
澤 芳樹 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (00243220)
福嶌 教偉 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (30263247)
松宮 護郎 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (20314312)
舩津 俊宏 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (80379239)
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Keywords | Tissue Engineering / 脱細胞弁 / 人工弁 |
Research Abstract |
心臓血管外科領域で自己弁の代替として使用される生体弁の欠点を克服するべく,近年組織工学を応用した脱細胞化生体弁の研究が行われているが,耐久性などいまだ問題点も多い.本年度の研究では,異種大動脈弁を組織侵襲の少ないdetergentを用いた新たな脱細胞化処理によりscaffold(組織骨格)を作成,組織学的検討・生化学的検討を行い,脱細胞化技術を評価,その安定化に成功した.ブタの大動脈基部を脱細胞化処理し,得られた脱細胞弁は,組織学的には細胞成分をほとんど認めない.このことは生化学的検討でも確認され,ほぼ完全な脱細胞化を可能としている.一方でcollagenなどの細胞外マトリックスの保存状態は良好で,問題とされる耐久性の面でも改善が期待される.生体適合性をみるため行われたネズミ背部への皮下移植実験では,従来の弁と比較しても宿主による免疫応答が低く,石灰化の程度も軽かった.このような良好な基礎的実験の結果を受けて,in vivoでの評価を行うため,イヌへの移植実験を開始した.人工心肺を使用しての実験で,耐久性を考慮し移植部位は肺動脈弁位としている.移植後予定観察期間内で大きな合併症は認めなかった.移植後2ヶ月での組織所見では,弁尖を中心に炎症反応を含め,宿主細胞による再細胞化を認めた.血流ストレスを受けることで,in situでの再細胞化がすすむためと考える.ただしこの時点で,移植脱細胞弁の壁に関しては組織学的には細胞化の程度は低く,中・長期モデルでの検討が待たれる. 来年度以降は,引き続き脱細胞化技術の向上に努め,理想的なscaffoldとなるよう改良を加えていくと同時に,移植実験では短期モデルで比較的良好な移植脱細胞弁の再細胞化が認められるので,より長期フォローアップしたモデルでの検討をすすめる.
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