2006 Fiscal Year Annual Research Report
新しい脱細胞化技術による自己組織化する異種生体弁の開発
Project/Area Number |
17390380
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Research Institution | OSAKA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
市川 肇 大阪大学, 医学系研究科, 特任教授(常勤) (60303939)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 暉 大阪大学, 名誉教授 (00028614)
澤 芳樹 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (00243220)
福嶌 教偉 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (30263247)
松宮 護郎 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (20314312)
西村 元延 鳥取大学, 医学部, 教授 (90291442)
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Keywords | Tissue Engineering / 脱細胞弁 / 人工弁 |
Research Abstract |
心臓血管外科領域で自己弁の代替として使用される生体弁の欠点を克服するべく、近年組織工学を応用した脱細胞化生体弁の研究が行われているが、'耐久性などいまだ問題点も多い。本年度の研究では、異種大動脈弁を組織侵襲の少ないdetergentを用いた新たな脱細胞化処理によりscaffold(組織骨格)を作成、組織学的検討・生化学的検討を行い、脱細胞化技術を評価、その安定化に成功しこれを報告した(2006 The International Journal of Artificial Organs)。ブタの大動脈基部を脱細胞化処理し得られた脱細胞弁は、組織学的には細胞成分をほとんど認めない。このことは生化学的検討でも確認され、ほぼ完全な脱細胞化を可能としている。一方でcollagenなどの細胞外マトリックスの保存状態は良好で、問題とされる耐久性の面でも改善が期待される。生体適合性をみるため行われたネズミ背部への皮下移植実験では、従来の弁と比較しても宿主による免疫応答が低く、石灰化の程度も軽かった。このような良好な基礎的実験の結果を受けて、in vivoでの評価を行うため、イヌへの移植実験を行った。人工心肺を使用しての実験で、耐久性を考慮し移植部位は肺動脈弁位とした。移植後2ヶ月での組織所見では、弁尖を中心に宿主細胞による再細胞化を認めた。血流ストレスを受けることでin situでの再細胞化がすすむためと考えられた。移植後6ヶ月での超音波による評価でも逆流、狭窄など認めず、良好な弁機能が保たれていた。組織学的評価でも弁尖の弁尖の肥厚、石灰化を認めなかった(2007年3月 J Artif Organs Publish予定)。またFibronectin-HGFを脱細胞弁に用いると、用いない群、HGFのみを用いた群に比べ、より内皮化が促進されることが分かった。(2005 Ann Thorac Surgに報告)。
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Research Products
(2 results)