2006 Fiscal Year Annual Research Report
肺癌における遺伝子診断による分子ステージングの確立と治療指針の開発
Project/Area Number |
17390388
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
杉尾 賢二 産業医科大学, 医学部, 助教授 (70235927)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小山 倫浩 産業医科大学, 医学部, 助教授 (00309965)
花桐 武志 産業医科大学, 医学部, 講師 (30299614)
浦本 秀隆 産業医科大学, 医学部, 助手 (90389445)
菅谷 将一 産業医科大学, 医学部, 助手 (40352306)
安元 公正 産業医科大学, 医学部, 教授 (30150452)
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Keywords | 肺癌 / 分子ステージング / 遺伝子発現 / 多発肺癌 / 分子標的 / EGFR / gefitinib / 耐性 |
Research Abstract |
肺癌において、分子生物学的特性を加味した分子病期分類(分子ステージング)を確立するために、初年度から引き続き今年度、以下の研究を行い、成果を得た。 1.バイオバンクの構築:初年度に引き続いて組織およびDNAなどの抽出と保存を行っている。 2.多発肺癌と肺内転移の遺伝子発現解析による鑑別:臨床的に同一組織型で多発肺癌と診断された28例について、p53,p16,p27,c-erbB2の遺伝子発現を免疫組織化学的に解析した。各症例の複数の腫瘍間での遺伝子発現の差を検定したところ、40%以上の発現の差は多発肺癌であることを示唆し、予後的にも合致することを示した。この遺伝子発現の検定は、分子病期分類に有用であると考えている。 3.分子標的解析:昨年、Epidermal Growth Factor Receptor(EGFR)遺伝子変異と臨床背景や喫煙との関係を報告した。今年度、分子標的薬であるgefitinibとEGFR遺伝子変異との関連を薬剤感受性、耐性の観点から解析した。Gefitinibに奏効し、後に耐性となった4症例の腫瘍の遺伝子解析を行った結果、4例の原発腫瘍ではいずれもgefitinib感受性変異を有していたが、耐性獲得腫瘍では、4例中3例にexon20のコドン790の点突然変異(T790M)を認めた(Int J Clin Oncol,2006)。また、gefitinib感受性変異を有しながら初期耐性であった腫瘍において、exon20のコドン796の点突然変異(G796A)を認めた。この変異を有するstable cloneを樹立し、sensitive assayにて、gefitinibに対し耐性であることを証明した。すなわち、exon20のコドン790および796の点突然変異によるアミノ酸置換はチロシンキナーゼ阻害剤であるgefitinibに対し耐性であると考えられた。
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Research Products
(13 results)