Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小山 倫浩 産業医科大学, 医学部, 准教授 (00309965)
花桐 武志 産業医科大学, 医学部, 講師 (30299614)
浦本 秀隆 産業医科大学, 医学部, 助教 (90389445)
小野 憲司 産業医科大学, 医学部, 助教 (40369062)
安元 公正 産業医科大学, 医学部, 教授 (30150452)
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Research Abstract |
肺癌における分子病期分類(分子ステージング)の確立と新たな治療指針の開発のために,今年度,以下の研究を行い,成果を得た。 1.多発肺癌と肺内転移の遺伝子発現解析による鑑別:臨床的に同一組織型で多発肺癌と診断された28例の肺癌症例について,p53,p27,p16,c-erbB2遺伝子発現の観点から,多発肺癌あるいは転移癌の鑑別を行ない,遺伝子発現の総合的判定が分子病期分類に有用であること,かつ予後推定の指標となることを示した。 2.肺腺癌における発癌機序の解析:EGFR,K-ras遺伝子構造異常,p53遺伝子発現異常の観点から,多発肺癌の発癌における遺伝子変異の機序を解析し,多発肺癌におけるEGFR,K-rasの同一遺伝子型は68%となり,p53発現型を加味しても38%の一致率となり,多発癌の場合の発癌機序が同一である可能性が示された。 3.分子標的解析による治療指針の開発:チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)gefitinibが奏効し,後にgefitinib耐性となった腫瘍のEGFR解析を7例に施行した。いずれもExon19delやExon21 L858Rの感受性変異を有していたが,5例についてはExon20 T790M変異を獲得していた。また,19dlの感受性変異を有していたにも拘らずgefitinib耐性であった腫瘍からExon20 G796A変異を検出した。このstable cloneを樹立しin vitro解析でgefitinib耐性を確認し,耐性機序の一つの機序であることを報告した。 4.細胞株の樹立とTKI感受性、耐性機序の解明:これまでに採取肺癌組織から26例の肺癌細胞株の樹立を行ない,gefitinibとerlotinibに対するsensitive assayを行ない,耐性の機序を解析中である。 5.抗癌剤選別法の開発:Gene Arrayを用いて薬剤代謝酵素(チトクロームP450系)96遺伝子を網羅的に解析した結果,約半数の肺腺癌にCYPlAl,2A6,2El,3Aの発現が確認され,報告した。肺癌中のCYP発現は,腫瘍マーカーおよび抗癌剤選別の因子として臨床応用することが考えられる。
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