2005 Fiscal Year Annual Research Report
熱外中性子を用いた悪性脳腫瘍に対する細胞選択的次世代粒子線治療の研究
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17390390
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
松村 明 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (90241819)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 哲哉 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (30375505)
影治 照喜 徳島大学, 医学部歯学部附属病院, 講師 (70294684)
森田 明夫 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (60302725)
藤堂 具紀 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (80272566)
熊田 博明 日本原子力研究所, 研究炉部, 研究員 (30354913)
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Keywords | グリオーマ / BNCT / ホウ素 / 中性子 / グリオブラストーマ / 脳腫瘍 |
Research Abstract |
【目的】本研究では悪性神経膠腫に対して中性子捕捉療法(Boron Neutron Capture Therapy,以下BNCT)を行い、本治療法の有効性・安全性を明らかにする。【対象と方法】悪性神経膠腫に対し、単剤または2剤併用ホウ素化合物を投与後、日本原子力研究開発機構において混合また熱外中性子ビームの1回照射を行った。照射法は開頭または非開頭法とした。新たなプロトコールとしてX線併用BNCTを開始した。治療後MRI検査を含めた経過観察を行い、副作用、腫瘍縮小効果、再発形式、progression free survival(PFS)等を評価した。またGd-157の併用効果、ホウ素化合物取り込みの細胞周期依存性、BNCT線量シミュレーションについての基礎研究を行った。【結果】初発例に対する開頭照射では術後残存腫瘍を認めた4例全例で縮小が見られ、手術後の生存期間中央値はGrade III 33.3M、IV 23.7Mであった。熱外中性子ビームを用いた開頭照射プロトコールでは3例の治療を行い、全経過は9.5M、10.7M、1例はBNCT後8ヶ月で初回治療部位から離れて再発を来し、14ヶ月時点でKPS90の状態である。再発例に対する2剤併用非開頭照射では4例5回の治療を行い、BNCTに伴う神経症状の悪化は認めず、4例中2例に瘍縮小効果を認め、これにより一時的な日常生活能力の改善を認めた。また、Grade IV全体での生存期間中央値およびPFSはそれぞれ17.3Mおよび13.4Mであり、X線分割照射をおこなった症例の12.5Mおよび5.1Mと比較して延長する傾向が見られた。また、in vitroでGd-157とBNCTの併用効果、薬剤取り込みに関するホウ素薬剤間での細胞周期依存性の違いが明らかになり、JCDSではマルチリーフコリメータへの対応が可能となった。【結語】悪性神経膠腫に対するBNCTの有効性と安性が確認された。ホウ素化合物2剤併用、非開頭照射を用いたBNCTを行い、経過観察中である。また、BNCTとX線治療の併用療法を開始し、2例を経験した。今後本研究を継続し、有効性・安全性を検証する。
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