2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17390392
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
齊藤 延人 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60262002)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平戸 政史 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (00173245)
今井 英明 群馬大学, 医学部, 助手 (70359587)
登坂 雅彦 群馬大学, 大学院医学系研究科, 助手 (40323357)
風間 健 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (30396626)
今野 兼次郎 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (30323348)
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Keywords | ミニブタ / 脳梗塞モデル / 白質(内包)障害 / 軸索障害 / 運動障害 / 虚血後微小環境変化 / 再現性 / 低侵襲性 |
Research Abstract |
【背景と目的】これまでの囓歯類(ラット、マウス:滑脳型動物)を中心とした脳梗塞モデル研究の結果をもとに脳虚血障害における白質障害の重要性とよりヒト脳(脳溝型脳)に近い実験モデルの必要性が認識されてきている。基礎から臨床への橋渡しをする研究(トランスレーションナルリサーチ)を目的とし大型動物(ミニブタ:脳溝型脳動物)を用い選択的白質梗塞モデル(ラクナ梗塞モデル)を作成し、脳梗塞急性期の病態変化を多角的に解明する。さらに得られた基礎データの蓄積をもとに新しい脳梗塞治療法(神経幹細胞移植、成長因子による神経再生など)の開発戦略の構築を目指す。【方法】実験動物はminiature pig(体重:35.2±5.2kg)を用いた。(1)全身麻酔下に前頭側頭開頭を施行し前脈絡叢動脈を遮断、ラクナ(内包)梗塞を作成した。(24hrsモデル:n=7,2daysモデル:n=5,1weekモデル:n=7)(2)画像評価:梗塞作成24時間後にMRI(DWI, FLAIR)にて評価した。(3)運動機能評価:経時的に行動をスコアリングした。[3,6,12,24hr・2.3,4,5,6day・1week(4weeks)](4)病理組織学的評価:H-E染色や各種免疫染色にて評価した。【結果】(1)モデル作成:前脈絡叢動脈閉塞による内包梗塞を89.7%(26/29)に認めた。画像評価:MRI(DWI)にて梗塞領域を同定した(2)運動機能評価:閉塞後12-24時間で最大障害となりその後は症状の改善が認められた。12,24hrs、2daysではsham群との間に統計学的有意差(p<0.005)を認めた。(3)組織学的評価:GFAP・APP染色により虚血障害部位の同定が可能であった。24hrs標本ではischemic core辺縁部には著名な細胞外浮腫、macrophageの集籏、反応性astrocyteが認められ、時間経過とともに炎症範囲の進展・拡大を認めた。亜急性期から慢性期にかけての軸索障害は虚血による直接障害部位から離れた遠位部においても同側の大脳白質で広範囲で散在性に認められた。【考察と今後の方針】本脳梗塞モデルではMRI画像病理組織学的な評価法でも内包に限局しておりラクナ梗塞との類似性が認められた。運動機能障害は出現するものの臨床例と同様に時間経過とともに改善した。病理組織学的では梗塞部位での軸索障害を検出可能であり、その周囲のmicroglia・macro phageの活性化や反応性astrocyteも検出された。これら一連の脳梗塞周辺部位はダイナミックな炎症変化を示すことも判明した。今後脳梗塞周辺部位の微小環境変化の病態解明を多角的に(電気生理学、電子顕微鏡など)行い、新しい治療法(白質障害保護薬の評価、神経再生)開発の治療戦略を目指している。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] New Model of Focal Cerebral Ischemia in the Miniature Pig.2006
Author(s)
H Imai, K Konno, M Nakamura, T Shimizu, C Kubota, K Seki, F Honda, S Tomizawa, Y Tanaka, H Hata, N Saito.
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Journal Title
J Neurosurg (2 Suppl Pediatrics) 104
Pages: 123-132
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[Journal Article] The detection and quantification of highly reactive oxygen species using the novel HPF fluorescence probe in a rat model of focal cerebral ischemia.2005
Author(s)
S Tomizawa, H Imai, S Tsukada, T Simizu, F Honda, M Nakamura, T Nagano, Y Urano, Y Matsuoka, N Fukasaku, N Saito.
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Journal Title
Neuroscience Research 53
Pages: 304-313
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