2007 Fiscal Year Annual Research Report
コンディショナルノックアウト法による脳腫瘍モデルマウスの作製
Project/Area Number |
17390395
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
薄井 宏 Niigata University, 脳研究所, 助教 (20192510)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
崎村 建司 新潟大学, 脳研究所, 教授 (40162325)
鷲山 和雄 新潟大学, 脳研究所, 准教授 (00183715)
|
Keywords | 脳腫瘍モデル動物 / コンディショナルノックアウト / 癌抑制遺伝子 / 髄芽細胞腫 |
Research Abstract |
前年度までに作製したPtc-floxマウス(Ptc遺伝子のフレームシフトエクソンをloxP配列で挟んだマウス)を、幼若神経細胞で選択的に組み換え酵素のCre蛋白を発現するTubulinβ III-Creマウスと交配して、癌抑制遺伝子Ptcのコンディショナルノックアウト(細胞選択的遺伝子破壊)を行なった。また、Nf1遺伝子のフレームシフトエクソンをloxP配列で挟み、同時にP53遺伝子をピューロマイシン耐性遺伝子で置換したNf1-flox; P53-nullマウスを作製し、脳内細胞選択的にCre蛋白を発現するNestin-Creマウスと交配することにより、癌抑制遺伝子のNflとP53を脳内細胞で破壊するコンディショナルノックアウトを行なった。 得られたマウスを観察したところ、Ptc-floxヘテロ;Tubulinβ III-Creヘテロマウスで5ケ月以内に50%(2/4)の頻度で小脳原発の腫瘍の発生が認められた。発生した脳腫瘍はマーカー蛋白の発現に乏しい未分化の細胞から成り、ヒトの髄芽細胞腫の組織像に類似していた。一方、Nfl-flox; P53-nullヘテロ; Nestin-Creヘテロマウスでは6ケ月齢までに脳腫瘍は観察されておらず、Nfl-flox; P53-null変異をホモに持ちNestin-Creをヘテロに持つマウスの作製が必要と考えられた。 これらの所見は、Ptc遺伝子の変異が髄芽細胞腫の発生原因の1つであることを示しており、脳腫瘍の発生原因解明に貢献することができた。また同時に、治療法の開発に役立つ髄芽細胞腫のモデルマウスを作製することができたことを意味しており、その意義は大きい。
|
Research Products
(2 results)