2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17390401
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
永廣 信治 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (60145315)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 浩一 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教授 (90225938)
松原 俊二 徳島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (60294675)
西 京子 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助手 (60335817)
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Keywords | 脳動脈瘤 / 成因 / 実験モデル / エストローゲン / 高血圧 / 女性 |
Research Abstract |
脳動脈瘤は1)比較的閉経期の女性に多く発症すること、2)高血圧がリスクファクターでありshear stressのかかる部位に発生し易いこと、3)estrogenがcollagenの分解、維持に重要な役割を担っていることから、estrogen欠乏状態でcollagenの分解が亢進し血管が脆弱化している状況下で血圧が高ければshear stressを受け易い部位では脳動脈瘤が発生する可能性が高いと考え、ratを用いてestrogenの脳動脈瘤形成メカニズムへの関与について検討した。7週令SD雌性ラットの両腎臓動脈1/2結紮と一側頸動脈結紮を行い、高血圧と血流動態変化を誘発した1ヶ月後に両側卵巣を摘出した。さらに2ヶ月後腹部大動脈から採血、心臓よりPBSを潅流、次いでBatson's No.17 plastic(Polysciences)注入により作成した脳血管castを電子微鏡下で観察した。嚢状脳動脈瘤(stage III)は雌性高血圧ラット(卵巣摘出)で9/15(60%)に発生し、雄性高血圧ラット:3/15(20%)、雌性高血圧ラット(卵巣非摘出):3/15(20%)および無処置雌性ラット:0/15(0%)と比較して発生頻度が高く(p<0.05)、いずれも主に前大脳動脈(7/9,78%)で認められた。また脳動脈瘤形成のtriggerと考えられる血管内皮の不規則な走行を始めとする初期変化(satge I)および血管壁弛緩と内膜隆起(stage II)も卵巣摘出ラットで高頻度に観察された。脳動脈瘤形成に至る血管内皮の初期の形態学的変化を観察したのは世界初であり、動脈瘤形成に至る病因として血行動態や高血圧に加えてestrogenの影響が大きいことも初めて実証した。 さらに脳動脈瘤形成におけるエストロゲンの関与を明確にするために、estrogen投与によるホルモン補充療法を行い、脳動脈瘤形成および進展の抑制に有効かどうかについて検討した。結果、stage I-IIの血管内皮の初期変化から嚢状動脈瘤形成に至るまでの形態学的変化の発生頻度は未治療群:13/15(86.7%)に対してホルモン補充療法群:5/15(33.3)と有意に低下した(P<0.05)。以上の結果から脳動脈瘤の成因にhormone特にestrogenが強く関与しており、脳動脈瘤形成に対して血管保護的に作用することが示唆された。詳細なmechanismについては今後、検討予定である。
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Research Products
(3 results)