2007 Fiscal Year Annual Research Report
血管平滑筋収縮弛緩に影響する麻酔薬の細胞内作用機序の解明
Project/Area Number |
17390430
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
上村 裕一 Kagoshima University, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (30211189)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
恒吉 勇男 宮崎大学, 医学部, 教授 (90301390)
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Keywords | 血管平滑筋 / シグナル伝達 / 薬理学 / 麻酔薬 |
Research Abstract |
血管平滑筋の収縮は手術麻酔中には麻酔薬により大きな影響を受けるが、生体内のホルモンによってもその収縮の制御を受けており、これまでノルアドレナリンとの関連で麻酔薬の作用が主に検討されていた。他のホルモンの中でもAngiotensin II(ANG II)は強力な血管収縮ホルモンであるが、ヒト血管における反応性はよく判っていない。そこで、冠動脈バイパスグラフト術で使用された胃大網動脈(GEA)の余剰遠位端を用いANG IIの血管反応性を検討した。 摘出されたGEA(n=56)から結合組織を剥離し動脈リング標本を作成し37℃に加温したオルガンバス内で等尺性張力を測定した。生体濃度のANG II(10ng/mL)を30分間隔で繰り返し、cyclooygenage inhibitorのインドメタシン10^<-5>mol/L、KATPチャンネルブロッカーのグリベンクラミド10^<-6>mol/L、NO synthase inhibitorであるL-NAME10^<-4>mmol/LをANG IIと同時にそれぞれ投与し収縮力の変化を観察した。 ANGIIはGEAにおいて強い収縮反応を示したが、同一濃度ANG IIを30分間隔で繰り返し投与した場合、著しい収縮減弱(tachyphylaxis)を生じ、約5-6回で収縮力はほぼ消失した。一方、この収縮減弱に対しインドメタシンはtachyphylaxis前の収縮力に回復させた(P<0.01)。グリベンクラミド、L-NAMEには同様の収縮改善作用はなかった。また、インドメタシンによるANG IIのtachyphylaxis反応阻害効果に対する細胞内伝達機序を解明するためcAMPおよびcGMP阻害薬を用いて検討したが、両薬剤はインドメタシンによるANGII収縮改善効果を抑制しなかった。 ANG IIはヒト胃大網動脈を強力に収縮させるが、急速にtachyphylaxisを生じ収縮力は減弱する。また、その収縮反応の改善にはアラキドン代謝系が関与している可能性が示唆されたが、cAMPおよびcGMP等の細胞内伝達系は関与せず、その上流の反応系が関与している可能性が示唆された。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Significance of asymmetric basal posterior wall thinning in patients with cardiac Fabry's disease2007
Author(s)
M. Kawano, T. Takenaka, Y. Otsuji, H. Teraguchi, S. Yoshifuku, T. Yuasa B. Yu, M. Miyata, S. Hamasaki, S. Minagoe, Y. Kanmura, C. Tei
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Journal Title
American of Cardiology 99
Pages: 261-263
Peer Reviewed
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