Research Abstract |
平成18年度 1.マウスにおける疼痛閾値とDAMGO脳室内投与の行動学的変化 A/JおよびCBA/Jマウスをハロタン麻酔(2-3%)下に脳室内にポリウレタンカテーテルを留置し,注入部を頸部の背側から導出した.神経学的に麻痺や異常行動がないことを確認し,3-5日後,実験に使用した.まず熱刺激を足底に行い,逃避する潜時を記録した.von Freyフィラメントと用い,逃避閾値を測定し,尾に動脈クリップをはさみ,尾を舐める,あるいは噛むまでの時間を測定した.次いで,μレセプタアゴニストであるDAMGOをカテーテルを通して脳室内投与し,それぞれの潜時,閾値を60分まで測定した. 2.マウスにおける延髄(Rostral Ventromedial Medulla : RVM)からの細胞外記録 A/J, CBA/Jマウスをウレタン麻酔下に人工呼吸とした.脳固定器に頭部を固定した.開頭しBregmaを同定後、硬膜を切除した脳表面を適宜、生理食塩水で浸し,タングステン電極(10-15Ω)を硬膜開窓部より刺入し,小脳部を越え,Rostral Ventromedial Medulla : RVM領域まで進めた.マイクロマニピュレータを2-5μmずつ進めた.自発活動が少なく,足底部や大腿部にピンセットで20gの力(pinch刺激)に応じて活動電位を生じるON cell,自発活動が多く(2-5Hz以上),足底部や大腿部への侵害刺激で自発活動が減じるOFF cell,自発活動が多く(2-5Hz以上),侵害刺激でも自発活動にまったく変化がみられないNEUTRAL cellの単一ニューロン活動を分離した(S/N ratio >3-4). まずpinch刺激,brush刺激,熱(40℃),冷(4℃)を足底部に行い,それぞれに応答するニューロン活動を記録した.次いで,脳室内に留置したカテーテルを通じ,μレセプタアゴニストであるDAMGOをcummulativeに投与し,各容量の投与後60分までの応答を,10分間隔で記録した. A/Jマウスは,CBA/Jマウスに比べて,熱・機械的侵害刺激に対するDAMGOの脳室内投与による抑制効果が有意に高かった.またA/JマウスはOFF cellの割合がON cellに比べ有意に高く,DAMGOによってON cell, OFF cellともに有意に抑制された
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