2006 Fiscal Year Annual Research Report
細胞間情報伝達系の制御による過活動膀胱に対する分子標的治療の研究
Project/Area Number |
17390443
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Research Institution | NAGOYA CITY UNIVERSITY |
Principal Investigator |
橋谷 光 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (10315905)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 光 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (80037548)
窪田 泰江 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 臨床研究医 (00381830)
郡 健二郎 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (30122047)
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Keywords | 間質細胞 / 平滑筋 / 過活動膀胱 / 細胞内カルシウム / ペースメーカー細胞 / 細胞内カルシウム貯蔵部位 / Kit受容体 / 尿流出路閉塞 |
Research Abstract |
1.排尿パターンと膀胱内圧測定により膀胱過活動を認めた尿流出路閉塞モルモット膀胱で、免疫組織学的検討を行った。粘膜下層・外膜下の結合組織の肥厚、Kit・ビメンチン陽性間質細胞の増加を認めたが、平滑筋αアクチン染色性には変化を認めなかった。間質細胞は対照群で認めた粘膜からの距離に比例した減少を示さず粘膜下層にびまん性に分布しており、粘膜・神経線維間の情報伝達亢進への関与が示唆された。電子顕微鏡下で豊富なミトコンドリアを有する間質細胞が、相互にあるいは平滑筋・神経との間に近接しており、細胞間情報伝達における役割が形態学的に示唆された。 2.細胞内カルシウム濃度変動を可視化し、ウサギ尿道間質細胞の機能を検討した。間質細胞の自発カルシウム(Ca)濃度変動は、L型Caチャネル以外の経路によるCa流入と、細胞内貯蔵部位からのCa遊離の協調により起こり、また一酸化窒素(NO)により抑制され、αアドレナリン受容体刺激により促進された。交差相関検定により、間質細胞間には自発活動の強い時間的相関を認めたが、平滑筋との間には約20%にのみ相関を認め、尿道の間質細胞は平滑筋の興奮性の上昇に関与する不確実なペースメーカー細胞であると考えられた。同様の薬理学的性質を持つ間質細胞はマウス腎孟でも認められ、尿路における普遍性が示唆された。 3.モルモット膀胱(多筋線維束)標本で、NOドナーは自発収縮を亢進、膜透過型サイクリックGMP(cGMP)は抑制し、シルデナフィル(sild)は約65%の標本で収縮を抑制、残りに対しては無効であった。NoドナーはcGMP非依存性に単一筋線維束の活動電位の頻度を増加させ、Sildは無効であった。膀胱平滑筋に対してcGMPは抑制作用を、NOはcGMP非依存性の興奮作用を有し、またSildは平滑筋細胞以外、おそらく間質細胞、に作用して筋線維束間の協調を阻害して抑制作用を示すと考えられた。
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Research Products
(6 results)