2006 Fiscal Year Annual Research Report
生殖免疫と腫瘍免疫の対比-妊娠維持機構からみた腫瘍免疫学への新たな提言-
Project/Area Number |
17390447
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
齋藤 滋 富山大学, 大学院医学薬学研究部, 教授 (30175351)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 正利 富山大学, 附属病院, 助教授 (90242502)
中村 隆文 富山大学, 大学院医学薬学研究部, 助教授 (20303969)
日高 隆雄 富山大学, 附属病院, 講師 (70283083)
佐々木 泰 富山大学, 附属病院, 助手 (60324050)
宮崎 聡美 富山大学, 大学院医学薬学研究部, 助手 (90361956)
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Keywords | 妊娠 / 癌 / 免疫 / トレランス / 制御性T細胞 / IDO / NK細胞 / 腫瘍免疫 |
Research Abstract |
免疫寛容にはCD4^+CD25^+制御性T細胞とindoleamine 2,3 dioxygenase (IDO)が重要な役割を果たす。今回、脱落膜中の樹状細胞(DC)やマクロファージ(Mφ)のIDO発現が、CD4^+CD25^+制御性T細胞上に発現するCTLA-4分子により増強し、母子接点の場においてIDOとCD4^+CD25^+制御性T細胞が協調的に働き、胎児が拒絶されない機構を初めて明らかにした(Mol Hum Reprod, 12;865,2005)。このことを腫瘍免疫で検討したところ、子宮頚部CIN3症例でIDOの発現が出現し、また局所への制御性T細胞が認められるようになり、続いてIa期の子宮頚癌の浸潤部に強くIDOが発現されており、かつ腫瘍周囲に多数の制御性T細胞が観察された。しかもIDOを発現するDCとFoxp3を発現する制御性T細胞が接触していることを世界に先駆けて見出した(Cancer Science in press)。これらの事実より、IDOと制御性T細胞は協調的に働き、腫瘍に対しての免疫寛容を誘導していることになる。また制御性T細胞が流産のみならず妊娠高血圧腎症においても低下すること(Clin Exp Iinmunol in press)やprimaly biliary cirrhosis (PBC)という肝疾患においても低下することを初めて報告した(Hepatology 43;729,2006)。その他、マウスの白血病モデルを作製したところ、特殊な表面マーカーを持つNK細胞が増加し、このNK細胞がDCからのTGF-β産生を誘導し、細胞傷害性T細胞活性を低下させることを報告した(J Immunol 176;4113,2006)。本NK細胞の存在はこれまで知られておらず、制御性NK細胞の発見という面で大きな意義を持つ。現在、制御性NK細胞が妊娠子宮に存在することも確認しており、検討を進めている所である。このように生殖免疫と腫瘍免疫には種々の類似点があり、興味ある種々の知見が見出されており、今後、より詳細な検討を加える予定である。
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Research Products
(19 results)