2005 Fiscal Year Annual Research Report
子宮内膜症の増殖・進展機構の解明と新たな分子標的治療の開発
Project/Area Number |
17390451
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
寺川 直樹 鳥取大学, 医学部, 教授 (90163906)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 省 鳥取大学, 医学部, 講師 (40218649)
岩部 富夫 鳥取大学, 医学部附属病院, 講師 (10284001)
吉田 壮一 鳥取大学, 医学部附属病院, 助手 (70304219)
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Keywords | 子宮内膜症 / 培養間質細胞 / 増殖・進展 / サイトカインファミリー / TNFα / IL-8 / 転写因子NF-κB |
Research Abstract |
子宮内膜症患者腹水中にはTNFαとIL-8が高濃度に存在すること、TNFαは転写因子NF-κBを介して内膜症間質細胞からのIL-8産生を誘導し、IL-8は内膜症間質細胞の増殖を促進することを明らかにしてきた。また、エストロゲンはTNFαによるIL-8産生誘導を促進したことから、本症におけるエストロゲンの増殖・進展機序の一つとして、IL-8産生に対する促進効果が挙げられた。したがって本年度は、エストロゲン作用に拮抗する内膜症治療薬、プロゲステロンとダナゾールおよびジェノゲストのIL-8産生と細胞増殖に及ぼす影響について検討した。 患者の同意のもと、手術時に採取した卵巣チョコレート嚢胞壁より分離培養した内膜症間質細胞を対象とした。TNFα(0.1ng/ml)とE2(10<-7>M)存在下に、プロゲステロン(10^<-6>>M)、ダナゾール(10^<-6>M)またはジェノゲスト(10^<-7>M)を添加した後、培養上清中のIL-8濃度をELISAで測定した。IL-8遺伝子発現をNorthernblot法で、NF-κBの活性化をEMSAにて検索した。内膜症間質細胞の増殖能はBrdU assayで検討した。 TNFαとE2の添加は、NF-κBの活性化とIL-8遺伝子ならびに蛋白発現を増強した。プロゲステロン、ダナゾールおよびジェノゲストの添加は、TNFαとE2によって誘導されるNF-κBの活性化とIL-8遺伝子ならびに蛋白発現を減弱した。TNFαとE2の添加はBrdUの取り込みを促進したが、プロゲステロン、ダナゾールおよびジェノゲストによる細胞増殖への影響は観察されなかった。 以上の成績より、プロゲステロンおよびプロゲステロン誘導体であるダナゾールとジェノゲストは、エストロゲンのIL-8産生促進作用に拮抗することで子宮内膜症の増殖抑制に関与する可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)