2007 Fiscal Year Annual Research Report
ケーブルを用いない1チップ型人工網膜の臨床応用へ向けた基礎研究
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17390465
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
富田 浩史 Tohoku University, 先進医工学研究機構, 准教授 (40302088)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉井 信 東北大学, 先進医工学研究機構, 教授 (90004720)
菅野 江里子 東北大学, 国際高等研究教育機構, 助教 (70375210)
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Keywords | 人工網膜 / 網膜変性 / 三次元積層化技術 / ウサギ |
Research Abstract |
これまでの研究で、電極素材、網膜刺激のための適切な電流値、刺激パターン(パルス幅、パルスパターン)を決定している。昨年度、薬剤による網膜変性ウサギの作製とこの網膜変性ウサギと正常ウサギとの行動的差異を迷路を用いて検討した。最終年度である本年度は得られる視力を具体化すること、それに加えて刺激電極間距離が得られる視力に及ぼす影響を明らかにすることを試みた。得られる視力を具体化するために、ヒトと同様の視力検査を実施できるカニクイザルを選択した。研究方法は、正常な視覚を有するカニクイザルをトレーニングし、視力検査を実施し、その後、薬剤によって視覚機能を消失させ、人工網膜をインプラントすることとした。この研究にはサルの視覚を消失させる方法が必要であるため、失明を引き起こす方法について検討した。ラット、ウサギで失明を引き起こす方法として知られているヨーソ酸ナトリウム、N-methyl-nitosourea、一酸化窒素の投与を試みた。ヨーソ酸ナトリウムの静脈内投与、N-methyl-nitosoureaの腹腔内投与では視機能(視覚誘発電位測定)は低下したものの、完全に失明させることは不可能であった。一方、硝子体内への一酸化窒素の投与では視覚誘発電位の低下はほとんど認められなかった。カニクイザルを失明させることが困難であったために、多点同時電位記録システムを用いて電気生理学的に視力を評価する方法を検討した。ヨーソ酸ナトリウム投与によってウサギを失明させることができることから、ヨーソ酸ナトリウムでウサギを失明させ、眼内に人工網膜チップの電極部位をインプラントし、網膜一点刺激によって得られる視覚誘発電位を測定した。ウサギ視覚野に記録用電極64点(200μm間隔)を配置し、直径100μmの電極で刺激を行った。高い電流刺激(500μA)で64点記録用電極の全てで電位変化が記録された。この結果から、高い電流刺激では、その興奮は広範囲にわたり、刺激電流値をを下げることによって、解像度を高くできる可能性が示唆された。
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Research Products
(20 results)