2005 Fiscal Year Annual Research Report
小児に対するオーダーメイド型再生医療のための幹細胞基盤技術の開発と胎盤の利用
Project/Area Number |
17390472
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小室 広昭 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (80296128)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
陳 国平 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 助教授 (50357505)
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Keywords | 幹細胞 / 食道 / 横隔膜 / 羊膜 / Hoechst染色 / 未分化マーカー / 分化誘導 |
Research Abstract |
食道の再生に関する研究:胃壁から細胞成分を機械的、化学的に除去して作成したgastric acellular matrix(GAM)を用いて、食道の再生を試みた。ラットを用いた実験で食道上皮の良好な再生を認めたが、筋層の再生は認められなかった。現在、BrdUを用いて、再生機構の解析を行っているところである。 横隔膜の再生に関する研究:横隔膜ヘルニアの手術において、横隔膜の欠損の範囲が大きい場合、ゴアテックスシートなどを用いたパッチ閉鎖が行われるが、この方法では体の成長に合わせてシートは増大しないため、胸郭変形といった成長障害を来すことがある。また、異物反応による肉芽形成や、素材に対するアレルギーの可能性といった問題点がある。今回我々はこれらの欠点を克服するために、自己組織による横隔膜再生を図るべく、ラット横隔膜欠損部に、生体内吸収性高分子材料であるPLGLAメッシュに天然高分子コラーゲンをhybridさせたシートを逢着した実験を行った。ヘルニアの再発は見られず、良好な組織の再生が見られたが、筋組織の確認はできなかった。現在、骨髄の間葉系幹細胞を播種した実験を行っているところである。 羊膜上皮のStemnessに関する研究:胎児由来の組織である羊膜には、未分化な細胞が含まれており、幹細胞として利用できる可能性があると考えられている。また、血管が無いために免疫学的にも拒絶を受けにくいという特徴を持つことが以前から知られている。羊膜は元々、分娩後に廃棄されていたため、使用に関して倫理的な問題も生じにくく、材料の確保が比較的容易である。このため、新たな細胞供給源として着目されている。本研究では、ラット羊膜由来細胞の幹細胞としての性質について検討した。(1)RT-PCRによる解析では、未分化細胞マーカーとしてnestin、SCF、Vimentinの発現が認められた。(2)FACS解析では全細胞の59.1%がHoechst lowを示し、幹細胞を多量に含んだ細胞集団である可能性が強く示唆された。(3)現在のところ神経系への分化誘導培地を用いて神経系の細胞への分化誘導の可能性が示唆された。 羊膜上皮細胞は多分化能を持つ幹細胞としての性質を維持しているものと思われ、幹細胞の有力なCell sourceになりうることが示された。今後、さらなる実験を重ね、羊膜上皮細胞の幹細胞としての臨床応用の可能性について検討していく予定である。
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