2005 Fiscal Year Annual Research Report
多様な分化能を持つ脂肪由来幹細胞を利用する組織再建の新展開
Project/Area Number |
17390475
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鳥居 修平 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60115607)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北川 泰雄 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (50101168)
亀井 譲 名古屋大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (10257678)
高田 徹 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (40362248)
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Keywords | 幹細胞 / 再生医療 / 自家幹細胞 / 脂肪由来幹細胞 / 体性幹細胞 / 低血清培養 / 天井培養 / CD34 |
Research Abstract |
胚発生が完了した成体組織に内在している幹細胞を体性幹細胞と呼ぶが、これらは成体組織の更新・修復に重要であり、内在している組織を作っている細胞種にだけ分化すると信じられてきた。ところが、これらが思いもよらない分化能力を持ち、発生学的系列が異なる細胞種にも分化することが判明している。この体性幹細胞の集積部位として、最近、脂肪組織が注目されている。ここには、同じ系列に属する脂肪細胞、軟骨細胞、骨芽細胞や筋芽細胞に分化できる間葉系幹細胞だけでなく、血球系や神経系にも分化できる幹細胞が含まれることが判明している。最近の研究では、この脂肪由来幹細胞の分化スペクトルが血管内皮細胞や上皮細胞、さらには肝細胞にまで広がっている。 申請者らは、この脂肪由来幹細胞を様々な組織の再建に利用することを目的に、1)ヒト脂肪組織から分離した成熟脂肪細胞を培養器の天井面に接触した状態で静置(天井培養)すると、天井面と下床面の両方に、脂肪、骨、軟骨、筋肉に分化する間葉系肝細胞が選択的に増殖すること、2)脂肪組織から分散した細胞集団を遠心沈降して得られるSVF画分の細胞を2%の血清と線維芽細胞増殖因子(FGF)-2を含む培地で継代培養(低血清培養)すると、同様の間葉系幹細胞が無限に増殖することを発見し、3)1Gの脂肪組織と200MLの血液を患者から採取して、完全にヒト化(患者個人化)した自家間葉系幹細胞を調製する方法を国際特許申請した。 平成17年度にはこの成果を拡大させて、A)内臓脂肪の代表である大網のSVFに対しても低血清培養を適用することを試み、脂肪、軟骨に分化する幹細胞を得たが、その骨分化能は低いことを明らかにした。B)培養前の脂肪由来SVFに含まれる高い分化能を持つCD34陽性幹細胞は、培養に移すことによって間葉系列の分化能しか持たない細胞に分化することを明らかにし、CD34陽性幹細胞の維持には成熟脂肪細胞との接触が重要であることを発見した。
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Research Products
(5 results)