2005 Fiscal Year Annual Research Report
プロテアーゼとその抑制物質による口腔粘膜の免疫調節機構と口腔粘膜疾患
Project/Area Number |
17390483
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菅原 俊二 東北大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (10241639)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 康男 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助教授 (50005039)
菅原 由美子 東北大学, 病院・助手 (30235866)
|
Keywords | プロテアーゼ / プロテアーゼ抑制物質 / 免疫調節 / プロテアーゼ活性化受容体 / 口腔粘膜 / 口腔粘膜疾患 |
Research Abstract |
本研究は、プロテアーゼとその抑制物質による口腔粘膜の免疫調節機構を明らかにし、口腔粘膜疾患克服に向けての基礎的成果を得ることを目的に計画した。本年度は以下のような研究実績を得た。 1.Propionibacterium acnes加熱死菌投与後、内毒素性リポ多糖を静注すると血中インターロイキン-18(IL-18)レベルが著しく亢進し、IL-18依存性の肝障害が誘導される。この実験系において、抗好中球抗体Gr-1を前投与することにより生体内から好中球を除去すると、血中IL-18レベルの低下と肝障害の抑制が見られた。セリンプロテアーゼインヒビター、フサン前投与でも同様の効果が観察された。リポソーム封入体による生体内からのマクロファージの除去はまったく効果がなかった。また、プロテアーゼ活性化受容体2(PAR2)ノックアウトマウスにおいても血中IL-18レベルの低下と肝障害の抑制が見られた。さらに、好中球除去マウスにPAR2アゴニストである好中球proteinase 3を投与すると血中IL-18レベルの回復が見られた。以上の結果は、口腔上皮細胞を使ったin vitroでの我々の報告をin vivoで証明したものであり、炎症の場において好中球浸潤と好中球セリンプロテアーゼによるPAR2活性化はマクロファージ以外の細胞、おそらく上皮細胞からのIL-18産生誘導に関与し、口腔粘膜疾患の病態形成に重要な働きをしていることを示唆する。 2.歯周病原菌の産生する主要な病原因子の一つであるトリプシン様プロテアーゼ(ジンジパイン)は、PAR1およびPAR2を介して歯肉線維芽細胞を活性化し、同細胞から肝細胞増殖因子産生を誘導することを初めて示した。歯周病病態形成の一つの機序と考えられる。 3.さらに、歯周病原菌などの細菌成分の自然免疫認識機構における新たな役割などを明らかにした。
|
Research Products
(6 results)