2006 Fiscal Year Annual Research Report
プロテアーゼとその抑制物質による口腔粘膜の免疫調節機構と口腔粘膜疾患
Project/Area Number |
17390483
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菅原 俊二 東北大学, 大学院歯学研究科, 教授 (10241639)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 康男 東北大学, 大学院歯学研究科, 助教授 (50005039)
菅原 由美子 東北大学, 病院・助手 (30235866)
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Keywords | プロテアーゼ / プロテアーゼ抑制物質 / 免疫調節 / プロテアーゼ活性化受容体 / 口腔粘膜 / 唾液 / 口腔粘膜疾患 |
Research Abstract |
本研究は、プロテアーゼとその抑制物質による口腔粘膜の免疫調節機構を明らかにし、口腔粘膜疾患克服に向けての基礎的成果を得ることを目的に計画した。本年度は以下のような研究実績を得た。 1.ラクトフェリン(Lf)は鉄イオン結合性で抗菌活性を持つトランスフェリンファミリーの糖タンパク質であり、唾液などの外分泌液中に存在する。我々は、慢性歯周病患者の唾液中にはコンカナバリンA(ConA)低親和性のLfポリペプチドが存在するとの知見を得た。このLfポリペプチドはLfの分解産物であった。プロテアーゼの一つ、proteinase3(PR3)様活性は歯周病患者の唾液中に検出され、その活性は歯周病の重症度と相関していた。歯周病患者の唾液中にはPR3は検出されたが、エラスターゼやカテプシンGは検出されなかった。このCon A低親和性LfポリペプチドはLfが本来有する抗菌活性と鉄イオン結合能を欠いていた。一方、このLfポリペプチド、PR3処理したLfや合成ポリペプチドは口腔上皮細胞の転写因子を活性化し、炎症性サイトカイン産生を誘導した。さらに、Lfポリペプチドの量は歯周病の重症度と相関した。これらの結果は、歯周病患者唾液中のLfはPR3によりペプチドに分解され催炎性を獲得することを示唆する。 2.唾液中に遊離型の菌体成分認識分子Toll様受容体2(TLR2)を検出した。TLR2は本来細胞膜結合型として存在するため、何らかのプロテアーゼの関与が示唆された。さらに、遊離型TLR2は口腔内の防御機構に関与する可能性を示唆する知見を得た。 3.さらに、ヒスタミン合成酵素活性の上昇は炎症性サイトカイン産生を介して炎症をコントロールするという知見も得た。
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Research Products
(8 results)