2005 Fiscal Year Annual Research Report
粘膜免疫におけるASK1-p38MAPキナーゼ経路を介した自然免疫制御機構の解析
Project/Area Number |
17390492
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
武田 弘資 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教授 (10313230)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
一條 秀憲 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (00242206)
|
Keywords | シグナル伝達 / MAPキナーゼ / ストレス / 自然免疫 / 感染症 |
Research Abstract |
我々は,ASK1がp38MAPキナーゼを介して自然免疫応答において非常に重要な役割を担っていることを明らかにしていることから,今回,ASK1-p38経路の標的分子の探索を行った。ショウジョウバエにおいては哺乳類ASK1の相同分子であるDASK1が存在し、哺乳類細胞と同様にアポトーシスの制御に関わっていることが示唆されている。我々は,哺乳類ASK1の知見に基づいてDASK1タンパク質のN末端を欠失させた「恒常活性化型DASK1(DASK1ΔN)」を作製し、各種組織特異的プロモーター依存的にDASK1ΔNを発現させ、ショウジョウバエ各組織においてDASK1活性化が誘導する表現型を探索した。その結果、背側正中線領域にDASK1ΔNを発現させた際、成虫においてその発現領域に一致して明らかな黒色の色素沈着が認められた。この色素沈着は、dopaならびにdopamineから誘導されるメラニンの合成亢進によることが遺伝学的解析によって示唆され、dopaの産生に必須の酵素であるtyrosine hydroxylase (TH)の発現上昇が確認された。この表現型はドミナントネガティブ型P38変異体の過剰発現によって抑制されたことから、DASK1はp38経路を介してTHの発現を制御する活性をもつと考えられる。このようなDASK1によるTHの発現制御にはp38によるNR4Aファミリー転写因子のリン酸化制御が関わっていることが明らかとなり,さらに哺乳類細胞においてもこの経路が保存されていることが分かった。ショウジョウバエにおいては自然免疫応答におけるメラニン合成系の重要性が既に知られており,今回明らかとなったNR4Aファミリー分子のリン酸化制御機構が,ASK1-p38MAPキナーゼ経路を介した自然免疫制御においても重要な役割を担うものと考えられる。
|
Research Products
(6 results)