2007 Fiscal Year Annual Research Report
カテプシンD欠損による老化促進機序の解明と酵素補充による老化制御に関する研究
Project/Area Number |
17390495
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中西 博 Kyushu University, 大学院・歯学研究院, 教授 (20155774)
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Keywords | 老化 / 単核貧食細胞 / カテプシンD / リソソーム蓄積 / ミクログリア / 酵素補充 |
Research Abstract |
交付申請書の研究実施計画に沿って今年度は酵素補充による老化制御を目的として中枢神経系に対する血管内ミクログリア注入の影響,ならびに末梢組織に対するカテプシンD補充の影響を解析した。 (1)中枢神経系に対する血管内ミクログリア注入の影響:GFPを過剰発現させた新生仔マウスの大脳皮質から調整した初代培養ミクログリア(2×10^6/100μl)をカテプシンD欠損マウスの総頸動脈より注入し,脳内浸潤を解析した。その結果,GFP陽性ミクログリアの大脳皮質脳実質内への浸潤が認められた。浸潤したGFP陽性ミクログリアの近傍にカテプシンD陽性のニューロンが観察された。しかし,ミトコンドリアATP合成酵素サブユニットc(カテプシンD欠損によりリソソーム内に蓄積)の蓄積量に有意な変化は認められなかった。一方,野生型マウスではGFP陽性ミクログリアの脳内浸潤は全く認められなかった。カテプシンD欠損マウスの大脳皮質の血管内皮細胞にはケモカイン(MIP-1αならびにMCP-1)の強発現が認められた。以上の結果より,ミクログリア血管内注入によりニューロンにカテプシンDが補充されることが示唆されたが有意なリソソーム蓄積の改善は認められなかった。さらに,カテプシンD欠損マウスではケモカインの発現により血管内注入ミクログリアの脳内浸潤が促進されることが示唆された。 (2)末梢組織に対するカテプシンD補充の影響 リコンビナントのプロカテプシンDを経口投与によりカテプシンDが末梢組織に補充されるかどうかを検討した。リコンビナントのプロカテプシンDを3日間経口投与後,肝臓,脾臓ならびに骨髄組織の可溶分画を調整し,カテプシンDに特異的な蛍光基質を用いて酵素活性の測定を行った。しかし,どの臓器の可溶分画においてもカテプシンD活性は認められず,経口投与したプロカテプシンDが組織細胞内に取り込まれていないことが示唆された。
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Research Products
(10 results)