2005 Fiscal Year Annual Research Report
RANKとToll-likeレセプターシグナルの阻害による歯周病治療法の確立
Project/Area Number |
17390497
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
宇田川 信之 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (70245801)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 浩彰 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (50227930)
山下 照仁 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 講師 (90302893)
中村 美どり 松本歯科大学, 歯学部, 講師 (90278177)
中道 裕子 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 助手 (20350829)
溝口 利英 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 助手 (90329475)
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Keywords | 歯周疾患 / リポ多糖 / 破骨細胞分化因子 / ペプチドグリカン / ムラミルジペプチド / 骨吸収 / 骨形成 / 骨誘導因子 |
Research Abstract |
高齢者における歯の喪失は、歯周疾患による歯槽骨吸収が大きな原因を占める。この歯槽骨破壊の原因の一つとして、歯周ポケットに存在するグラム陰性菌外膜由来のリポ多糖(LPS)が知られており、炎症性骨吸収を防止することが、歯周病の確実な治療法と考えられる。 1998年、破骨細胞分化因子(RANKL)の同定とその遺伝子クローニングが成功した。そして偶然なことに、1998年、LPSの受容体として、Toll-like receptor 4(TLR4)が発見された。Toll-like receptor(TLR)は、ショウジョウバエの病原体認識分子Tollの哺乳類のホモログである。LPSはTLR4を介して信号が伝達されるが、その後の信号はアダプター分子であるMyD88依存性の経路とTRAM-TRIF依存性の経路が存在する。LPSによる破骨細胞の分化と骨吸収機能発現には、MyD88シグナルが必須であることが明らかとなった。 細菌のペプチドグリカンはTLR2を介して細胞内にシグナルを伝達する。ペプチドグリカンの構成成分であるムラミルジペプチド(MDP)は、破骨細胞の分化を促進する因子であることが明らかとなった。 最近、骨の形成に関与する骨芽細胞と骨吸収の主役である破骨細胞の相互作用が明らかとなってきた。我々は、骨吸収と骨形成のカップリング(共役)機構を明らかにすることを目的に、各種の遺伝子欠損マウスを用いて実験を行っている。破骨細胞の分化と機能を阻害し骨粗鬆症を呈するオステオプロテゲリン(OPG)遺伝子欠損マウス、破骨細胞が存在しないために大理石骨病を呈するop/opマウスおよびc-fos遺伝子欠損マウスなどである。 骨誘導因子(BMP)の移植による異所性骨形成の検討を通じ、破骨細胞出現のメカニズムを解析している。BMPペレットにおける破骨細胞の出現は、石灰化に先立つものであった。破骨細胞は、ALP陽性骨芽細胞に近接した部位にのみ認められた。BMPペレット周囲の細胞にRANKLタンパク質の発現が認められた。OPG-FcのBMPペレットへの添加は、破骨細胞前駆細胞の出現には影響しなかったが、破骨細胞の分化を強く阻害した。RANKL欠損マウスへの移植では,RANKLの腹腔内投与により,骨組織にのみTRAP陽性細胞が出現した。以上の結果より、破骨細胞形成に関与する未知の因子の存在も示唆された。
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Research Products
(7 results)