2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17390498
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
柴田 健一郎 北海道大学, 大学院歯学研究科, 教授 (50145265)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒木 由夫 札幌医科大学, 医学部, 教授 (70161784)
安田 元昭 北海道大学, 大学院歯学研究科, 助教授 (90239765)
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Keywords | 微生物貪食 / Toll様受容体(TLR) / リポペプチドFSL-1 / 大腸菌由来LPS / TLR2 |
Research Abstract |
Toll-like receptor(TLR)は貪食細胞等に発現し、微生物の侵入を感知するセンサーとして注目されているが、微生物の貪食における役割については不明な点が多く残されている。本研究の目的は微生物の排除におけるTLRの役割を明らかにする事である。 ヒト単球系細胞株であるTHP-1細胞をジアシルリポペプチドFSL-1で処理した後、FITC標識E.coli(Ec)とS.aureus(Sa)を貪食させ、フローサイトメーターならびに共焦点レーザー顕微鏡を用いて貪食能を測定した。FSL-1刺激により、グラム陰性菌であるEcよりもグラム陽性菌であるSaの貪食が強く増強されたが、ラテックスビーズの貪食は増強されなかった。このFSL-1の貪食促進活性はp38、PI3-キナーゼ及びアクチン重合のインヒビターであるSB203580、wortmannin及びcytochalasin-D処理で減弱した。また、FSL-1刺激によりTHP-1細胞ではp38とPI3-キナーゼが活性化し、さらに細胞表面におけるTLR2の発現が増加した。TLR2^<+/+>とTLR2^<-/->マウスの腹腔浸出細胞による細菌貪食を調べたところ、FSL-1刺激により細胞内に取込まれている細菌の数が、TLR2^<+/+>では顕著に増加したが、TLR2^<-/->では増強しなかった。以上の結果から、まず、TLR2そのものが貪食受容体として機能している可能性を考えた。そこで、TLR2を安定して発現しているchinese hamster ovary(CHO)細胞を樹立し、細菌貪食を調べたが、この細胞はこれらの細菌を貪食しなかった。一方、貪食受容体として知られているCD14を発現しているCHO細胞では明らかな細菌貪食の亢進がみられた。FSL-1刺激により、THP-1細胞ではCD36,MSR1,Dectin-1,DC-SIGN等の貪食受容体のmRNAの発現が増強された。さらに、MSR1ならびにDC-SIGNを遺伝子導入したHEK293細胞は貪食能を示した。 以上の結果から、FSL-1はTLR2媒介性のシグナル伝達経路を通してマクロファージに貪食受容体の発現を増加させることにより、細菌貪食活性を促進させたものと推測された。さらに、TLR2自身は貪食レセプターとしては機能しないとことが示唆された。
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Research Products
(3 results)