2008 Fiscal Year Annual Research Report
歯の喪失は痴呆のリスクになるか-MRIによる長期前向き研究
Project/Area Number |
17390511
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菊池 雅彦 Tohoku University, 病院, 教授 (60195211)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坪井 明人 東北大学, 病院, 准教授 (00241646)
岩松 正明 東北大学, 病院, 助教 (30343031)
玉澤 佳純 東北大学, 病院, 准教授 (10124603)
木之村 重男 東北大学, 病院, 講師 (70281996)
下西 充 東北大学, 病院, 助教 (40302153)
|
Keywords | 歯の喪失 / 歯周病 / 脳MRI / 認知症 / 大脳白質病変 / 現在歯数 / Fazekasスコア |
Research Abstract |
本研究は、歯の喪失が認知症発症と関連があるかどうかを検討することを目的とし、同意の得られた被験者において、歯の喪失状況や歯周病の罹患状況と脳MRIによる脳の病変との関連を検討した。最終的に、61名の研究参加者について口腔内状況を診査し、脳MRI単純撮影を行った。被験者の年齢は63〜86歳、平均70.5歳、性別は男性24名、女性37名であった。歯の保有状況については、最小3歯、最大32歯であった。歯周病については、歯周ポケットが4mm以上、プロービング時の出血歯数、排膿の歯数を指標とした。一方、脳MRI検査による画像から、大脳白質病変に関するFazekasスコアにしたがって、DWMH(deep white matter hyperintensity ; 深部白質高信号域)、PVH(periventricular hyper intensity ; 脳室周囲高信号域)、SCH(subcortical gray matter hyperintensity ; 皮質下灰白質高信号域)を、病変の強度により0から3までの4段階に分類した。統計解析ソフトSPSS14.0Jを用いて、口腔内状況とFazekasスコアとの偏相関分析(年齢調整)を行ったところ、上顎歯数および上下顎合計歯数と、PVH前部とPVH後部との間に、それぞれ、有意(p<0.05)な負の相関が認められた。他の歯周病に関する因子とFazekasスコアとの間には相関はみられなかった。大脳白質病変は脳梗塞と同様の虚血性病変であり、認知機能障害と関連することが報告されている。したがって、今回の結果から、歯の保有数、とりわけ上顎の歯数が少ないほど、認知症のリスクが高くなる可能性があることが示唆された。
|