2007 Fiscal Year Annual Research Report
骨微小環境を再現した癌の骨浸潤能評価モデルの開発と新規骨吸収診断マーカーの探索
Project/Area Number |
17390536
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
佐々木 朗 Okayama University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (00170663)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
志茂 剛 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (40362991)
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Keywords | 骨浸潤 / 口腔癌 / 破骨細胞 / TGF-β / TβRI-I / 顎骨破壊 / 骨吸収マーカー / 術前予測 |
Research Abstract |
口腔癌の骨浸潤能は,浸潤先端部における骨微小環境の影響を大きくうけている。そこで臨床応用可能な骨微小環境を再現した癌の骨浸潤能評価モデルの開発を目的に研究を行った。 (1)in vitro骨浸潤評価モデルの有用性の検証 平成18年度の成果にさらに癌細胞を追加して、骨浸潤評価モデルの有用性を検証した。その結果、骨微小環境を再現したin vitro骨浸潤評価モデルでは、癌細胞は多くの骨吸収関連因子の発現の変化を認め、in vitroの結果はin vivo骨髄腔内癌移植モデルとの相関を認めた。 (2)臨床的材料の骨吸収マーカー関連候補因子の検証とその意義 1)骨吸収関連因子の免疫組織学的検討と骨吸収様式との関連 下顎歯肉癌患者の手術材料の骨浸潤像、浸潤様式、X線骨吸収様式の間に相関はなかった(平成17)。本年度は骨吸収関連因子の免疫組織学的検討を行ったところ、浸潤型骨破壊を示す標本では,TGF-β,TGF-βR両者が有意に上昇した。 2)TGF-βの阻害剤TβRI-Iを用いた癌骨浸潤に及ぼす実験的検証 ヌードマウス傍骨膜骨破壊モデルで,TβRI-Iの効果を検討した。HSC2細胞により虫喰い状の骨破壊を認めたが、TβRI-Iにより骨浸潤・増殖は抑制された。 3)TGF-β刺激によるHSC2細胞の培養上清は破骨細胞形成を促進し、TβRI-Iで抑制された。HSC2細胞におけるTGF-βで誘導される破骨細胞関連因子の検討ではOPG,PGE2,PTHrP,IL-6,IL-1α,VEGF mRNAでは変化はなかったがTNF-α,CCN2,RANKL mRNAに有意な上昇を認め、TβRI-Iにより抑制された。TGF-βによるHSC2細胞のSmad2/3リン酸化はTβRI-Iにより濃度依存的に減少した。以上より、骨微小環境を再現したin vitro骨浸潤評価モデルの有用性を示すと同時に、臨床材料から得られた関連候補因子にTGF-βとその受容体が有用なマーカーになる可能性が示唆された。
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Research Products
(9 results)