2006 Fiscal Year Annual Research Report
常染色体性エナメル質形成不全症の分子生物学的解析と遺伝子診断
Project/Area Number |
17390551
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
新谷 誠康 大阪大学, 大学院歯学研究科, 助教授 (90273698)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大嶋 隆 大阪大学, 大学院歯学研究科, 教授 (80116003)
岸野 万伸 大阪大学, 大学院歯学研究科, 助手 (60346161)
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Keywords | アメロブラスチン / エナメリン / エナメライシン / エナメル質形成不全症 |
Research Abstract |
平成18年度には平成17年度に常染色体性エナメル質形成不全症患者の口腔粘膜を綿捧にてスワブして抽出したゲノムDNAに加え,新しく協力を承諾された同疾患患者から同様に採取したゲノムDNAを用いてPCR(polymerase chain reaction)を行った。また,静脈血の採取に応じられる患者に対しては,これを施行し,ゲノムDNAの抽出を行った。ゲノムDNAと遺伝子のエクソンフランキング領域に設計した特異的なプライマーを用いて,アメロブラスチン,エナメリン,エナメライシン(マトリックスメタロプロテイナーゼ20)遺伝子を増幅した。引き続き,各々の遺伝子のコード領域とスプライス部位のクローンを作成し,ダイレクトシークエンスを行った後,分子生物学的解析を行った。さらに,アメロブラスチン遺伝子に関しては,これまでの研究により確立したPCR-SSCP(single-strand conformation polymorphism)法によってさらに詳細なデータの解析を行った。これまでに,エナメリンおよびエナメライシン遺伝子からは常染色体性エナメル質形成不全症の原因と推測できるような変異は確認されていない。しかし,アメロブラスチン遺伝子のPCR-SSCP分析から,著しくバンドの位置がシフトした結果が得られており,現在もなお解析中である。また,エナメライシン遺伝子に関しては,既知の哺乳類に加え,爬虫類や両生類の相同遺伝子を発見し,その分子進化学的解析を行った。その結果,エナメル基質タンパクであるアメロジェニンの機能型ペプチドへ分解する機能を司る上で最も重要な領域であると考えられるキャタリストドメインや機能を促進すると考えられるヘモペキシン様ドメインには特に高い保存性が認められた。得られたデータからは同遺伝子の保存領域が判明し,突然変異部の予測に大いに役立っている。
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