2006 Fiscal Year Annual Research Report
口蓋裂の発生に関与する遺伝子の特定-Runx1が口蓋形成に関わる役割について-
Project/Area Number |
17390552
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
山城 隆 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (70294428)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 照子 東北大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (00127250)
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Keywords | Runx1 / 口蓋裂 / ノックアウトマウス / 口蓋上皮 |
Research Abstract |
われわれは従来から、転写因子であるRunx1が顎顔面組織の発生に関わる役割を検討してきた。Runx1は骨形成のマスター遺伝子であるCbfa1/Runx2と同じRunxファミリーに属し、急性白血病の原因遺伝子として知られている。興味深いことに、このRunx1 mRNAは二次口蓋が形成される過程において、癒合直前の口蓋突起の癒合予定部位の上皮に、特異的にその発現が増大し、癒合後、この上皮の消失とともに、その発現が上皮から間葉に移動することを我々は見出した。そこで本研究はRunx1が口蓋の形成に果たす役割を検討することを目標とした。平成17年度において、血液特異的なGata1プロモーター特異的にレスキューを行ったRunx1ノックアウトマウスにおける口蓋裂の発生を検討したところ、このマウスは、一次口蓋と二次口蓋の間に口蓋裂を発症することを見出した。平成18年度のおいては、このGata1-Runx1/Runx1 KOマウスを用いて、口蓋裂発生のメカニズムをさらに細かく検討した。癒合予定部における上皮の表面性状を走査型電子顕微鏡で観察したところ、野生型マウスの癒合予定部の上皮は突起状に形状変化を示すのに対して、Gata1-Runx1/Runx1 KOマウスではそのような変化が生じなかった。そして、野生型マウスの突起状の形態をしめす上皮を観察したところ、細胞質はライソゾームで占められていた。このことよりRunx1は口蓋上皮が癒合する際に生じる細胞内消化に関与することが示唆された。さらにRunx1の発現を制御する分子をin vitroで解明を試み、Runx1の上流の遺伝子を同定した。これらの成果は、Gordon Research Conferenceあるいは日本矯正歯科学会(学術賞を受賞)で報告している。現在、これらの所見をまとめ論文に投稿し、review中である。
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Research Products
(1 results)