2005 Fiscal Year Annual Research Report
歯肉上皮細胞によるP.gingivalis殺菌機構と歯周病感受性との関連の解析
Project/Area Number |
17390559
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
天野 敦雄 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (50193024)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 一路 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (70294113)
稲葉 裕明 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (70359850)
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Keywords | Porphyromonas gingivalis / 細胞内侵入細菌 / 歯周病 / リピッドラフト / エンドサイトーシス / dynamin |
Research Abstract |
歯周病菌Porphyromonas gingivalisの宿主細胞内侵入経路および、細胞内侵入後の同菌の細胞内動態につき検討を加えた。その結果、本菌の細胞侵入は抗α5β1インテグリン抗体により阻害され、さらに細胞表層に局在するリピッドラフトの主要構成成分であるコレステロールに結合剤フィリピン、ナイスタチン、およびコレステロールを除去する作用をもつメチル・シクロデキストリンの添加により顕著に阻害された。またリピッドラフトマーカーであるガングリオシドGM1およびカベオリン-1の本菌への共局在も確認され、ラフトのP.gingivalisの細胞侵入への関与が強く示唆された。クラスリン依存性エンドサイトーシス不全株であるEPs15優性変異株に対するP.gingivalisの侵入効率は、野生細胞株への侵入と同等であったが、クラスリン非依存エンドサイトーシス不全株であるdynamin2変異株へのP.gingivalisの侵入は全く認められなかった。また、dynamin2変異細胞表層に偏在するdynamin2分子とP.gingivalisとの顕著な凝集が観察され、本菌の細胞侵入はdynamin2依存性クラスリン非依存エンドサイトーシスに拠るものであることが示された。また、細胞内侵入および細胞内移動にはアクチン、微小管の重合あるいは脱離が必須であることを示す結果も得られた。 以上の知見よりP.gingivalisは細胞骨格繊維の重合再編成を利用し、リピッドラフトおよびdynamin2依存性クラスリン非依存エンドサイトーシスを介して細胞内侵入を果たしていることが示唆され、歯周病の発症・進行に関わる感染経路において、重要なステップであるP.gingivalisの細胞内感染機序の一端が明らかとなった。
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Research Products
(12 results)