2008 Fiscal Year Annual Research Report
地域母子保健活動としての育児支援システム構築の試み
Project/Area Number |
17390575
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
江守 陽子 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (70114337)
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Keywords | 母子保健 / 育児支援 / 支援システム / 新生児訪問事業 / 家庭訪問 |
Research Abstract |
これまでに出産後〜12週の間の母親の育児に関する不安や心配の時系列的変化を調査し、母親のニーズに合致した家庭訪問の時期と指導内容および家庭訪問のアウトカム評価を実施した。さらにこれらの結果を踏まえ、家庭訪問の具体的な改善点について検討した。最終年度である本年は、本研究の目的である出産後の母親の育児不安軽減を目的とした家庭訪問を実施するための方策について検討し、総括した。 1.家庭訪問の効果として、家族の情緒的サポートよりも、より母親の不安の軽減に影響を与えていた。2.家庭訪問の適切な実施時期として、初産の母親は新生児早期と乳児期早期の2時点であり、経産の母親は新生児期の後半〜乳児早期、ただし、母乳や乳房のトラブルに関しての心配や不安は、生後2〜3週の新生児期早期と考えられた。3.4・5か月時における家庭訪問のアウトカム評価からは、初産は乳児期早期、経産は乳児期後期に実施した家庭訪問の効果が高かったことが示された。また、家庭訪問のアウトカムを母乳栄養の確立にした場合には、新生児期に訪問を受けていた母親でその効果が評価されていた。 以上のことから、家庭訪問の効果とコストという視点から考えた効率的な家庭訪問の時期は、初産の母親は乳児期早期、経産の母親は乳児期早期〜後期が考えられた。しかし、出産後、母親にとって最も関心の高い栄養や授乳をアウトカムとした場合は、初産、経産問わず、適切な家庭訪問の時期は新生児期であった。すなわち、家庭訪問のアウトカムを何にするか、またどの程度の効果を期待するかによって、家庭訪問の適切な時期は異なっていた。 最後に、家庭訪問を行う訪問専門職・看護職の教育についても言及し、母親のニーズに答えられる訪問専門職の育成が重要であることを総括した。
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Research Products
(3 results)