2005 Fiscal Year Annual Research Report
慢性呼吸不全患者の廃用性生活動作障害への運動によるアプローチ
Project/Area Number |
17390581
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
松尾 ミヨ子 鳥取大学, 医学部, 教授 (10199763)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷村 千華 鳥取大学, 医学部, 助手 (90346346)
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Keywords | 運動継続 / 高齢者 / 慢性呼吸不全 / ADL |
Research Abstract |
<目的>慢性呼吸不全患者の生活活動に運動を組み込む方法と運動継続効果を検討することであるが、今年度は慢性呼吸不全患者の対照群となる3年間継続している体操教室参加の健常高齢者の運動実施と運動継続について取り組むという目的を置いた。慢性呼吸不全患者については、患者会にアクセスし、在宅管理している患者の実態を知ることを目的とした。<方法>対象者の年齢は60歳代〜80歳代であるが、特に70歳後半から80歳代高齢者には腰痛、膝痛の問題を抱える者が多いこと、椅子を使った体操とし、運動用具としてセラバンドを用いた。運動方法は、1時間の体操教室を、前半30分間が運動効果、エネルギー摂取と消費、疾病の予防、転倒防止の工夫等の講義、後半30分がセラバンド体操という構成とした。運動は研究者がコーチとなり、運動プログラムや危険防止策を案出した。運動頻度は体操教室が1回/週で、自己記録用紙を渡し自宅でも実施するよう説明した。体操実施場所は地区の公民館を利用した。<結果>3年前に対象者17名で開始した体操教室は、現在は定期的参加者が27名に拡大した。拡大は、参加者自身が知人を勧誘するなど、参加によって体操教室の情報が広報されたことが大きな因子であった。運動継続の要因は、健常者の場合、単独での運動より、集団での運動に効果があるという示唆をえた。また対象者の関心領域の講義を設けたことも参加率を高めることになった。疾病を有する者に関しては、自分が疾病を有することを知られたくないという者もあり、集団で行うとしても個別の配慮が必要であった。運動内容に関しては、下肢筋力の強化を目指し、運動評価には、生活体力、握力、下肢筋力、体組成などを用いた。結果は、過剰体重、過剰体脂肪率傾向の者は、3年間でこれらの減少または維持を得ることができ、起居動作、歩行動作、身辺作業動作などのADLに動作も、3年間ほぼ全員が同じレベルを維持することができた。慢性呼吸不全患者については、患者会の代表と会合し、患者にとっての身体的問題、運動に対する考え方、在宅酸素療法など保険適用ではあっても、患者にとっては疾病に伴う生活負担となっているものなどの情報を収集した。 <検討>上記結果より、運動継続の要素として、慢性呼吸不全患者の場合も、運動は集団での取り組みとし、同時に対象が疾患管理に関心を高めるようなプログラムを開発段階である。また呼吸困難対策として、1セッションの運動を断続的なものにする運動プログラムを検討している。これは慢性呼吸不全患者の呼吸筋負荷テストなどで、呼吸困難の影響を避けるために、断続的負荷テストが用いられることから示唆を得たものである。さらに、運動中の低酸素状態を避けるために、経皮的酸素飽和度をどのように活用するか、運動継続によるADL維持、QOL変化など生活への影響の評価方法について検討した。
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