2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17401017
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
平川 新 東北大学, 東北アジア研究センター, 教授 (90142900)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺山 恭輔 東北大学, 東北アジア研究センター, 助教授 (00284563)
畠山 禎 東北大学, 東北アジア研究センター, 研究機関研究員 (60400438)
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Keywords | 漂流民 / シパンベルグ / ラクスマン / レザーノフ / フヴォストフ / 開国以前 / 日露関係 / 遣日使節 |
Research Abstract |
研究代表者と分担者は、19世紀初頭の日露交流に関するロシア側史料の翻訳文を収集した『ロシア史料にみる18〜19世紀の日露関係』第1集(平川新監修、寺山恭輔・藤原潤子・伊賀上菜穂・畠山禎編)を2004年3月に刊行した。この史料集は、全国紙をはじめとする各紙に取り上げられ、ロシア最初の世界一周航海の遂行過程、第2回使節レザーノフの日本遠征における交渉の実態を明らかにし、新たな問題を提起するものとして大いに注目された。 本年度は、この第1集の続編として、それよりも前の18世紀後半を扱う第2集、18世紀前半を対象とする第3集の翻訳・編集作業を進めた。これらは、18世紀初頭の日本人漂流民から、コサック隊のカムチャツカ半島、クリル列島の探検、シパンベルグの日本探検から第1回遣日使節ラクスマンまで、すなわち日露交流の開始から直接的な通商交渉にいたるまでの期間を対象としている。すでに第2集、第3集ともに翻訳作業は終盤に入っており、来年度のできるだけ早い時期の刊行をめざして現在、作業を継続中である。さらに、第2回使節レザーノフの日本遠征について、畠山はヘルシンキ大学付属図書館において、ロシア領アメリカでの活動やフヴォストフ、ダヴィドフのカラフト、エトロフ島襲撃事件にかんする史料を発掘した。海外共同研究者のアレクセイ・キリチェンコ氏は、ロシア帝国外交史料館所蔵の史料を調査した。これら史料の翻訳文は、すでに収集した史料館所蔵史料とともに第4集として刊行される予定である。 史料の分析にかんしては、2005年3月の研究集会の成果報告が寺山恭輔編『開国以前の日ロ関係』(東北アジア研究センター叢書)として2006年5月に刊行される予定である。本書では、平川「レザーノフ来航史料にみる朝幕関係と長崎通詞」が近世日本の漂流事件の動向を整理したうえで、ロシア側新史料から日露交渉を再検討し、寺山「遣日レザーノフ使節団の提唱者、ロシア宰相ニコライ・ルミャンツェフ」はロシア政府商務大臣ルミャンツェフに焦点を当てて、その人物像、遣日使節派遣に至る経緯を考察した。
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Research Products
(8 results)